DAN Protocol体験

なおちゃんの同級生がアレルギーの検査でR先生にお世話になっているという 話を聞いた。そのR先生は知的障害児の食物アレルギー治療、キーレーションな どを行っているという。一部リムランド博士の講演でも紹介されたものもあり、 相談してみる価値があるかも知れないと思った。食物アレルギーに関してはなおちゃんも 何か関係はありそうな事は感じていたが、(カールを食べるとハイになるとか)今まで 専門医に見てもらった事はなかった。最近なおちゃんはフラストレーションが溜まると 自分の手をかんだりして、痛い痛しい行動も増えてどう対応するべきが悩んでおり ちょっと行き詰っていた。

そのようないきさつもあり2002年の12月、ぱぱとままとなおちゃんでR先生を尋ねた。問診 では妊娠中、分娩の異常の有無、親戚に障害者がいるかなど良くある質問に答え、そのあと 先生の治療の方針について説明を受けた。簡単に言うと、

1) 体に合っていない物質を排除する
2) 体に足りない物質を補う
3) 体にある有害な物質を除去する

という方針で上から順番に進めている。リムランド博士の講演の内容と似ている のでDANの事を確認した。R先生はDANに基づく治療を実践している先生であることが 確認できた。 (DANについてはリムランド博士講演を参照してください。博士が創立した DAN(Defeat Autism Now)と言う組織は自閉症にかかわる人たちの研究、情報交換の 場で毎年大きな会議を開催しています。 2004年度DAN会議案内

R先生はちょっとなおちゃんも診察したが(心肺音の確認、皮膚の状態の確認程度)ほとんど はR先生が我々になおちゃんについて質問をし、それに我々が答えるに終始した。

上述した1,2,3を実行するには検査各種が必要だ。尿の検査、便の検査、 頭髪の検査、さらに血液の検査だ。これらの検査はDANで推奨されている 検査である。検査、判定を行う機関もDANのお墨付きの機関へ依頼する。 この初診の時に頭髪、尿、便の検査を送付するためのキットを受け取った。頭髪は一部を はさみでカットし、キット付属の封筒で検査機関 Great Smokies Diagnostic Labatory へ送付。 尿は面倒で、48時間すべて尿を容器にため、その大きな容器から 小型の試験用の容器に入れ替えて、保冷剤を同梱して宅配便で検査機関 The Great Plains Laboratory へ送付。 便も同じように2回分から一部を小型の容器に入れ、保冷剤と共に宅配便で 検査機関 Doctor's Data へ送付。 血液は病院で2003年1月に採取。なおちゃんは採血の経験がないのでどうなるか と思ったが大人5人ぐらいで完全に押さえつけ、腕から血液を抜いた。全部で 5,6本は取ったと思う。食物アレルギーの検査などだ。身動きもとれずかわいそうだったが 無事終了。

すべての検査結果がそろい、2月に再度先生と予約をする。今回は我々のみ でR先生からあらかじめボイスレコーダを用意してくださいといわれた。 この時、R先生は検査結果の説明をしてくれ、今後の方針を立ててくれた。 以下その内容である。

食物アレルギーについて

乳製品、鮭、まぐろ、卵、オレンジ、バナナ、グルーテン、麦、豆は避ける。 油物(フライ類)人口甘味料、砂糖、抗生物質(薬)なども禁止。体内での イースト菌の増加を抑えるらしい。 自閉症の子供たちは食物のアレルギーに対して過敏に反応する傾向が あり、行動にすぐ影響するといわれた。カールのスナックもそうなのか?

さらにここからも面白い。このR先生東洋医学の治療方法も取り入れて おり、アレルギーの治療のビデオとアレルギー試験管のセット購入を 勧められた。セットには20種類以上の試験管が用意されており、それぞれに アレルギーの元物質が入っている。これを一本ずつ手で握り、全身のつぼを指圧する。 正しく指圧することにより体内のアレルギー反応を抑えるという治療法だ。 一日1本の試験管を握るので約3週間で終了するのだ。 医師の指導で行うものではなく、ビデオを見て自分でやる民間療法である。 このセットは Food Allergen Kit と呼ばれ一般に市販されているもので病院で$125で購入。

実はこの療法を取り入れているカイロの先生にお世話になっており、 あまり違和感はなかった。しかし初めての人は半信半疑になると思う。

足りない栄養素について

検査結果から多くの栄養素が足りなりとの判定。12種類以上の栄養素を 補えといわれた。ざっと列挙すると ビタミンB6,B50,Ca,Mag,C,B12,Flax seed oil,DMG,DMSA,DGST だ。それぞれ一日の量なども細かく指定された。これらは 血液、尿、便の各種検査の結果から体内に不足しているものを先生が リストアップしたのだ。それぞれの効能についても説明を受けるが、専門的であり かつ英語なのでちんぷんかんぷんだ。ボイスレコーダ持参の意味がここでわかった。

最後にR先生はこの3つの治療で半年様子を見てください、その後 有害物質の除去に入りましょうといわれた。頭髪の検査では12種類以上の 金属の残量が検査されており、水銀は高い数値を示していた。あとマグネシ ウムは若干足りなかった。自分の頭髪の検査もしてもらおうかと思っている。 意外に皆水銀はあるのではないかというのが私の自論だ。

その後こうなった

なおちゃんの食べる物がなくなった。 乳製品、卵、、パン、ラーメン、うどん、味噌汁(豆)、ポテトチップ、マックのフライ、 揚げせん、甘いもの(チョコレート、ケーキなど)は禁止。これを取り上げると食べる ものが本当にない。せめてもの救いはご飯は食べても良かった。制限はできるところから という事で少しずつ検査結果のランクに応じて始めた。しかし、なおちゃんは好物の物が 何も食べれなく、おなかがいつも減る状態でなおちゃんも、親も精神状態が悪くなって しまった。数ヶ月で効果が現れるという言葉をささえに頑張ったが効果が見えず、 逆に悪くなっていたので途中で親が挫折、残念ながら継続する事ができなかった。 何かアイコンタクトが増えるなど目に見える変化があればよかったのだが。。

ビタミン剤などの栄養素もある程度購入したが効果のほどがわからず、今でもかなりの ものが残っておいてある。 つぼによるアレルギーの治療も効果のほどはよくわからずじまい。 結局2003年夏休みのころにはかなり元どうりに戻ってしまった。多少油を控えるなどはし ているが。

DAN Protocolはやる気と根気良く継続する信念がないと挫折する治療だと思う。 世の中にはこれで成功している人たちの話も聞くが、かなりの努力、家族の協力が 必要だ。しかし簡単な食事療法(グルテンを避ける程度)で効果があるという友達も複数 いるので可能なところから試してみるのも良いと思う。   なお The Great Plains Laboratory のホームページは日本語(誤訳に注意)の内容も多くあり、生物学的治療法 から自閉症の治療に取り組む内容が紹介されている。一度見ると良い。

なおちゃんの問題行動も変化がなく今回のこの治療では効果が得られなかったので 小児知的障害児を専門とする別のG先生の門をたたいた。何か効果的な薬を処方してくれる ことを期待した。このときこのG先生からZyprexaという薬を処方されて問題行動は一部は改善 された(ように思う)。この事はまた別の機会に。


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