消える抗酸化療法 否定されるサプリメント療法


  

 

 

 

2006年 アメリカ心臓病協会(AHA)が6年ぶりにライフスタイルの勧告を改定しました。AHAは世界でももっとも権威のある組織のひとつです。
(自分に自信が無いから権威付けをするのではありません。論文は吟味できます。しかし、知的レベルの低い人を説得するのには、時には権威付けも有用です。)(AHAの訳はアメリカ心臓病協会でよかったかしら?自信が無いなあ)
原文を読みたい方は、ここです。(手動でダウンロードの場合あり)
Diet and Lifestyle Recommendations Revision 2006: A Scientific Statement From the American Heart Association Nutrition Committee

以前より、ジョンズホプキンスのMillerのサプリメント有害説。さらにはWHOのサプリメント無効説などを、このホームページで紹介してきました。

さらに、何年も前から植物性マーガリンやショートニングは危険だとの、ハーバードのWillet説も紹介してきました。

あまりにも斬新な科学的論考であり、おかげさまで、変人・狂人扱いさえ受けてきました。

しかし、アメリカ社会も河合 医院に遅れること数年にして、やっとサプリメントの有害性を権威ある団体さえ認めるようになって来ました。

勧告はやや長文です。野菜を多く摂れ、肉を減らせ、魚を食べろ、運動しろ、体重管理しろ、禁煙しろ等に大きな変化はありません。

私が重要だと思うのは以下の点です。今回の改定点でもあります。

2006年 アメリカ心臓病協会(AHA) 栄養についての勧告1
抗酸化サプリメントは摂るべきでない
むしろ有害事象がはっきりしている
ベータカロテンを摂ると心不全が増える
ベータカロテンを摂ると喫煙者の肺癌が増える。 ビタミンEを摂ると死亡率上昇(MIllerの説をやっと追認)
抗酸化物は食品からとるべきであり、サプリメントを摂ってはならない。

2006年AHA 栄養についての勧告2
大豆食品を摂っても動脈硬化や心筋梗塞を防ぐという証明はほとんどできない。
イソフラボンを摂っても効果はない  
少しの効果があったとしても、むしろ、肉を大豆蛋白に替えた効果であろうが、それも小さい。
その少しの効果も、イソフラボンのためとは考えにくく、大豆蛋白自体の効果と考えられる。
イソフラボンはほぼ否定されたということです。
まとめると、「イソフラボンが結果として多くなるような生活」は「欧米人の平均的生活」よりも心臓にとってよい生活であるということです。イソフラボン自体に魔法のよい効果があると短絡するのは、知性の欠如した人間だということです。マスコミのことをいっています。
ベータカロチン、ビタミンE、ビタミンBすべてそうなのです。結果であり、原因ではないのです。サプリメントなど人為的過剰摂取は有害になることもあるのです。

2006年AHA 栄養についての勧告3
葉酸 他のビタミンB類を摂っても心臓や動脈硬化に効果がない

河合 医院の注
サプリメントで唯一科学的に偉大な効果があるビタミンがひとつあります。脊椎管閉鎖不全の奇形を防ぐ葉酸です。別のところで書きました。 若い女性は、胎児奇形を防ぐため、葉酸を取るべきです。アメリカで食品に添加したところ、奇形の発生率は10分の1になりました。日本では増加の一途です。動脈硬化には効果が無いということです。

2006年AHA 栄養についての勧告4
フラボノイド アリシンなど抗酸化物の効果は証明できない
フルーツをたくさん取るなど、普段の食品から摂るべき
これも、イソフラボンと同じで、抗酸化物質が多くなるような生活が重要で、人為的にサプリメントを摂るよりも重要です。

2006年AHA 栄養についての勧告5
マーガリンやショートニングに含まれるトランス脂肪は心臓病を増やすので摂ってはならない。
(Willetの説を追認。1993年の最初の論文からずいぶんかかったものだ)
もちろん、ポテトチップス、フライドポテト・クッキー・ケーキは危険。

2006年AHA 栄養についての勧告6
油の多い魚は、心臓のためにとるべきだ。  

これらは、あまり他人にしゃべらない方がよいでしょう。医師でさえ、知らないものがいます。
これらは、日本の常識と正反対なのです。毎日マスコミの白痴番組では「コエンザイムQ10は抗酸化作用があるので、すばらしい。たくさん摂ろう。」「XXも抗酸化作用のある物質だ」などと放送しているからです。

もちろん、科学的に間違っているのは日本マスコミですが、日本では通用しません。金儲けに利用する企業や売名医師の後ろ盾もあります。視聴率稼ぎのマスコミも同罪です
他人に吹聴すると、私のように、変人・狂人扱いされるでしょう。

「抗酸化作用すなわち絶対的有用なサプリメント」「サプリメントを摂れば健康になれる」「良質な植物脂肪だからマーガリンは安全」などと考えるのは馬鹿の証明なのですが、日本では通用しません。かえって、それが日本の常識なのです。

葉酸やサプリメント 

トランス脂肪油の摂りかた

炭水化物の摂りかた

薬品の効果が否定され、科学的根拠がまったく無いもの
Q10

アルファリポ酸

WHO勧告

結論?
世界の知識階級の常識  
抗酸化療法は効果が無く、ビタミンやサプリメントの過剰摂取により死亡率の上昇が見られることが科学的に証明された。

日本の非知性階級・企業およびマスコミの常識
抗酸化療法はすばらしい。何でもかんでも摂取しよう。サプリメントは何でも摂れば健康になれる。科学的検討などどうでもよい。情緒的ムードが大切だ。

抗酸化ビタミン等が効果があるように見えるのは、よい生活習慣の結果でビタミン等が増えているように見えるためである。抗酸化ビタミンサプリメント等を取ったからといって、よい生活習慣が実現できるわけが無い。原因と結果を逆に考えているだけである。

おもいっきりテレビやあるある大辞典を信じると有害
マスコミを信じないこと

悪い生活習慣で負い目がある。マスコミを信じて、サプリメントを大量摂取。かえって、健康被害を受ける。
よい生活習慣で、サプリメントの必要性を認めない。被害なく、健康に暮らせる。健康の2極分化。

2006.9.1
http://www.geocities.com/kawaiclinic/
〒6050842 京都市東山区六波羅三盛町170 
河合 医院

初級システムアドミニストレーター 河合 尚樹

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