日米貿易協定の医療側面


  

 

 

 

医師会関係者が自民党実力者に陳情・質問したそうです。
「医療器械はアメリカの価格の4〜5倍の値段を厚生労働省が設定して, 患者さんの負担は重くなっている。何でこんな不合理でいい加減な設定を国はするのか?」

「それは君、日米貿易協定があるからだよ。値段を下げたら日米貿易摩擦が起こる。トヨタの車が売れなくなるのだよ。」

医師会の理事は「トヨタのためか」と激怒しています。トヨタの印象はよほど強かったのでしょう、末端の私ごときにまで伝わってきているのですから。

もちろんオフレコですから、誰がいつどこでは特定できませんし、突き止めても 政治家特有の「記憶にございません」でしょうから。総理大臣を務めたお方でも健忘症になられる国ですから。

政治家にも「トヨタ」は自動車業界または経済界の単なる象徴かもしれません。
しかし、経済界のトップですから・・・・。経団連会長・・・。

同じ心臓のペースメーカーはアメリカでは25万円くらい、日本では120万円くらいの設定です。
これは,高度な政治判断だということです。

一方、トヨタの車は日米ほとんど同値段です。
政治家がどこを向いて仕事をしているのか明確です。

医療の株式会社参入ばかり叫ぶ、規制改革委員会も取り上げてはくれません。それもそうでしょう、高額医療機器のリースで高利を得ているのは委員長自身の会社ですから。儲かるのは財界ばかり。

アメリカの牛肉は輸入再開だそうです。

私は食べないことにしています。
アメリカでは牛の肉骨粉はチキンや豚のえさに大量に使われています。豚やチキンはプリオンが蓄積する前に屠殺されるので人間に影響は無いと考えます。
しかし、問題は酪農業者の農場です。鶏も豚も牛も混在するでしょう。農家が餌の運搬に別々のトラックを用意するでしょうか。プリオンは1gでも感染するといわれます。これが恐ろしいからです。トラックの荷台まで強力に洗浄し、混じらないよう予防されるとはとても思えません。

ここで言いたいのは、もちろんわれわれの生命を最重要視してくれる政治家はいないということです。日米貿易摩擦を最大限回避し、支持母体の財界に最大限遠慮するのが日本の政治家の最大の任務なのです。そこには、医療者の生命・安全を第一に考える思考は入り込む余地が無いのです。

もちろんアメリカも同様です。日本やアメリカ人の生命よりも、ブッシュの支持母体である保守農民層のテキサス酪農業者・大手屠殺輸出業者の最大限の利益を狙っているのです。

肉と車をバーターして最大の利益を得るのは、業者とそれに結託した政治家。被害は民衆の生命と安全です。

もちろん、「大企業から絞れるだけ絞れ」というような共産党の主張にも与しません。大企業がつぶれれば民衆が幸せになれるとは思いません。

では野党はどうでしょう。
アスベストの危険は30年以上前から知られており、ILOなどが禁止勧告を出していました。社会党はアスベスト禁止法案を検討しましたが、足元の石綿関係の労働組合に反対され、賛成側に回ってしまいました。国民の健康などまったく考えていません。

自民党と同じことです。国民の健康より、自分たちの支持団体の利権のほうが重要なのです。自治労をのさばらせ、役人天国・役人利権に協力してきたのと同じ構造です。支持母体と政治家自身がもっとも重要なのです。

税金も健康保険も、薄く広く集めているので、多少の負担増でも痛みがわかりません。高額医療費償還制度があるので、高額の機械代を払っても、患者さんさえ痛みがわかりにくい制度になっています。もちろん、医師の利益に何の貢献もありません。潤うのは財界です。公共資金を野党も与党も食い物にして、自分たちの支持母体の利益を図るのです。国民の利益ではありません。ぎりぎりの生活をしている高齢者・生活保護者が被害が最大です。

アメリカでGMは倒産しかかっています。多額の従業員医療費問題からです。一方、トヨタは日本の優秀な医療制度のおかげで、きわめて低価格の負担で従業員は医療を受けられるのにです。

トヨタ関係議員が偉そうに「財政改革委員会では、トヨタ式に医療費を削るのに努力している」と発言するのは 笑止ですが。奢れる者は久しからず・・。祇園精舎の鐘の声。

もちろんOECD中で、健康寿命は世界一、対GDP比で費用負担は最下位を争う日本の医療制度が前提で経営が成り立っているのです。

ということで、日本では自分で金を貯め高額の医療機器に準備を整え(償還金が戻るのは3月先)、知識を増やしてアメリカ産の牛肉を避ける、そしてトヨタの車を買いましょう???儲かるのはトヨタだけ???

もちろん、トヨタは象徴の言葉であり、一部業界の象徴です。政治家と結託する勢力ではあります。


2005.11.1
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初級システムアドミニストレーター 河合 尚樹

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