WHOのすすめる癌予防


  

 

 

 

以前は日本の癌センターが「癌予防の12ヶ条」が最高の指針でした。
しかし、「肉の焼け焦げは食べない」などは国際的には認められていないようです。 最近は癌センターも12ヶ条等は言わなくなったようです。

WHOと食糧農業機関(FAO)は(IARC)は2003年に世界の専門家に諮問し、「食物、栄養と慢性疾患の予防」という文書を発行しています。 その中には「食物、栄養と癌の予防」という章が設けられました。(最近FAOとWHOは共同事業をおおくてが

この中では、「マウスの実験で癌が減少した」「抗酸化作用があるので癌予防に有用」などのいい加減な情報は排除されています。

逆に、厳密な多数の疫学研究が一致した効果を示しており、その作用メカニズムも科学的に説明可能なものを「確実(convincing)」としています。

これが当面もっとも有用な癌予防指針と考えられますので、紹介しておきます。

A.確実なもの

1.リスクを下げるもの    
運動   大腸がん
2.リスクを上げるもの   
タバコ       口腔・咽喉頭・食道・胃・肺・膵・肝・腎・膀胱・尿管・子宮頚部・骨髄性白血病
肥満・過体重     食道・大腸・閉経後乳癌・子宮体癌・腎臓
飲酒       口腔・咽喉頭・食道・肝臓・乳房
アフラトキシン(ナッツのカビ)   肝臓(日本では大量摂取は考えにくい)
中国の塩蔵魚 鼻咽頭(日本では大量摂取は考えにくい)

B.可能性が大きい
1.リスクを下げるもの     
野菜・果物    口腔・食道・胃・大腸
運動       乳癌  
2.リスクを上げるもの      
貯蔵肉(ソーセージ・サラミ等)     大腸(日本では大量摂取は考えにくい)
塩蔵食品・食塩      胃
熱い飲食物     食道・口腔・咽頭  
 
  C.データ不十分 可能性のみ  
1.リスクを下げる可能性 
食物繊維(ずいぶん可能性が下がってきた) 大豆 魚 ω系脂肪酸 カロテノイド カルシウム 亜鉛 セレン ビタミン B2 B6 B12 C D E 葉酸 非栄養性植物機能成分(例 イソフラボン・アリウム化合物・フラボノイド・リグナン)
  
2.リスクを上げる可能性
  動物性脂肪 ヘテロサイクリックアミン 多環芳香族炭化水素 ニトロソ化合物
 
以上の表はあくまで食品で日常生活で摂取できる範囲の成果です。
私の印象では、若干重要性に差がついてきたと思います。

前に書いたように、ビタミンEなど過剰摂取で死亡率上昇が確認されてきています。サプリメントでベータカロチンを摂取すると喫煙者で肺ガンがかえって上昇します。

特殊なサプリメントで過剰に摂れば有害な場合もあることを強調しておきます。あくまで食品で日常生活で摂取できる範囲の成果です。

まとめとして、WHOは
1.禁煙
2.適正体重の維持
3.定期的運動
4.飲酒はしない 飲むなら日本酒1合かビール1本くらい
5.野菜・果物は一日400g
6.熱い飲食物を避ける
7.ソ-セージ・サラミ・ベーコン・ハムなど控える
8.カビを避ける
9.塩分を控える (中国式発酵塩蔵魚を避けるは)塩漬け 漬物も避ける 塩自体も控える

等を推奨しています。7.は日本ではあまり当てはまらず、9.の中国式塩蔵魚を避けるは日本では当てはまらないでしょう。ただし、塩分は控えるべきです。

 
 

WHO Technical Report Series 916 DIET, NUTRITION AND THE PREVENTION OF CHRONIC DISEASES

2006.1.1
http://www.geocities.com/kawaiclinic/
〒6050842 京都市東山区六波羅三盛町170 
河合 医院

初級システムアドミニストレーター 河合 尚樹

Home