よく混同されるコンピューターの知識

 

 

 

かなりコンピューターに詳しい人でも,ときどき単純な誤解がみられます。「IEEE 1394はきわめて高速なので,2台のコンピューターをつないでみたい。」「MOをつなぐのには高速のSCSI3の方がはやいので良い。」など混乱がみられます。また,これくらいの知識がないと,電気店の店員に不必要な高速のボードを,「将来の拡張性」などといって売りつけられたりします。整理してみました。

A.コンピューター同士をつなぐ
1.LANの規格
Ethernetが主体で 10Mbpsと100Mbpsがある。TとつくのはTwist pair (cable)の略で,比較的安く接続できる。1500円くらいのボードを使い接続する。いまのOSはファイルの共有などの設定で接続可能であり、他のものは要らないのが原則。最大100mの長さ制限がある。他にはFDDIがあり,光ケーブルを用いる。高価。
IEEE1394やUSBで2台のコンピュータ-をつなぐことが出来ることがあります。これは、ソフトで無理やりつないでいるのであって、必ず特殊なソフトを必要とします。例外であって、本来のやり方ではありません。ボードを差し込むのは簡単なのですが、初心者にはUSBなどはつなぎやすく、10MbpsのEthernetよりUSBの方が速いので今後増えるかもしれません。拡張スロットを消費することもありませんし、機械を開けなくて良いのも利点です。しかし、USB機器をたくさんつないだり、遅いCD/RWなどをつなぐと、データの衝突が起こり遅くて実用に耐えない場合もでてくるので、実際やってみないと解らない面があります。キーボードやマウスを接続すると、自転車とスポーツカーが同時に走っているようなものです。使い方しだいですから、他人のまねではうまくいかないときもあります。Ethernetでも衝突はおなじことですが、とんでもない遅い機械はまじりにくいはずです。会社など大規模になるとLANが主流です。IPアドレスで管理できて、接続台数に制限がないからです。HUBで拡張できます。

2.IEEE802.11b
2000年初頭に出来た規格です。無線LANの規格です。11とは11Mbpsのことです。AirMacはこれです。無線のモデムと思われていますが,実際はLANの規格です。NTT-MEは独自の規格で、似て非なるものです。製品名では、MN128-SOHO Slotinです。(早かったので、またMacの良い規格が承認されたのか?)メルコのAir Station はAirMacと互換性があります。一部の機種は互換性がないのですが,Wi-Fiの統一ロゴの機器を選べば、互換性があることになっています。コード配線が要らないのが利点です。Ethernetを京都のパソコン工房で用意すると、LANボードが980円X2枚とコード代ですみますが、3万から6万くらいかかるのが欠点です。USB接続なら5000円位です。モデムや、ISDNが付属しているのは、付加価値で、本来はLANのみの規格です。SONYのVAIOもこれで、別に専用でもなく他のコンピューターにもつなげます。安くなれば、爆発的に普及する??
IEEE802.11a/g
規格が拡張され54Mbpまで速度が上がりました。実際は8割から6割くらいか?aはGPS波と競合し、室内でも障害されやすい。gは超短波・電子レンジと競合。g/bは共存可能。現実的にはgを導入するのが良いか?

WEP
無線LANでこれを設定していないと、暗号化されず、情報は外部に筒抜けになってしまう。傍受できるということ。本体と端末に同じ暗号キーを設定する。64bit(40bit)と128(104)bitがあり、10文字または26文字の16進数で任意の暗号キーを割り当てる。128のほうが安全だが、能力の低い機器ではやや遅くなる。キャッシュカードと同じで、用意に推定できる電話番号などは避ける。
MACフィルター
これも設定しないと、他人の機械が無線LANに進入できてしまう。端末には必ずMACアドレスが表示されている。16進数(0〜9とA〜F)の数字で10桁のもの。これは全世界でひとつしかないので、特定のMACアドレスを登録し、それ以外の接続を拒否しておけば、他の機械は無線LAN に入ってこれなくなる。

3.PIFAS
本来PHSの規格ですが,これでも簡単なLANが構築できます。Let’s noteやLaVie NXなどこれを内蔵しています。廃れた?

B.周辺機器をつなぐ
1SCSI 7台まで接続。ハードディスクやMOなど現在の装置ならこれで十分。サーバーでも内部がSCSIのみのものもある。これのほうがIDEより速くて,安定しているため。しかし、IDEも66Mになり、ハードディスクも2Mくらいのキャッシュを持ちだしたので、ほとんど差がなくなってきた。RAIDもこれを使用。規格が1から3まであり,対応を調べてからカードを購入する。内蔵用と外付け機器接続用コネクタを備えている。各社がコネクターの規格を無茶苦茶にしたため,外付け接続ケーブルの確認が必要。変換コネクターも多数ある。ターミネーター内蔵なら不必要だが,ない場合はターミネーターをつける(付属していることが多い)。

2.IDE   内臓ハードディスクをつなぐ規格。 Eがつくと4台まで接続できる。CDやMOもつなげる。SCSIと比較して検討。(もちろん対応仕様でないとだめ)普通,タワー型に内蔵することになる。ATAPIはMOなどがIDE接続可能機器という意味と考えればよい。2台以上つなぐのにはケーブルを買ってきて,マザーボードに差し込む。

3.RS232C きわめて低速で,FAXモデムでしか生き残れない。

4.セントロニクス 昔はパラレルの方が早かったが,いまやシリアルのほうが早いので,プリンターの接続しか生き残れない。USBにとってかわられるであろう。

5.IrDA  赤外線の規格。統一されているので使いやすい。一定の需要で生き残れる。

6.IEEE1394 各社がI-LINKなど勝手な名前をつけているのが気に食わない。SONYとMacで標準。100Mbpsから100きざみに400まで規格がある。動画などにも対応可能。しかも,マックやSCSIでみられるデイジーチェイン(数珠つなぎ)で63台まで接続可能。将来を見越した規格。

7.USB 16Mbps程度で遅い。127台までハブ(分岐装置)で接続できるので,キーボードや遅いスキャナーなどの接続に便利。
2000年4月 USB2なる規格が突如設定されました。IEEEはアメリカの公的機関の規格です。ところが、IEEE1394はアップルの特許があるのです。アップルの規格を公的機関が追認したものです。営業面で困難なアップルは、IEEE1394の1ポートにつき1ドル徴収すると言い出しました。コンピューターの価格低下は激しいので、これは痛いのです。ウインテル連合は、無料のUSB規格を拡張し、420Mbpsの規格を提示して普及を目指しています。USB2に対応したチップはまだないので、マザーボードにまだ装着されていません。ビデオからの通信はIEEE1394で決まりと思われていたのが、ここでまた判らなくなりました。消費者は迷惑するばかりです。

RAID
これは接続規格ではないが,SCSIで接続するのでここにいれておきます。(IDEのボードもあり、安い。一万円くらい。)これは安いハードディスクを複数つなぎ,どれかのハードディスクが壊れても,他のディスクの修復用データを使って自動的にデータを復活してくれるもの。Compaqのサーバ用マシンなら30万位で売っている。これなら,自分でRAIDボードを増設するより安いくらい。もう一つのメリットは,複数のハードディスクに分散して書き込むのがCPUでなくボードで管理されるため,読み書きの速度がきわめて速くなること。レベル1とか0+1が多いが、これは単に2台に同じデータを書いているだけ。安全性は増すが、レベル5の3台以上の接続でないと本当の利点は発揮されない。レベル5のボードの値段は少し高い。どんなに安全対策をしても、操作ミスでデータを消してしまうこともあるので、RAIDがあっても、何らかのバックアップを取ることは必要です。逆に、操作ミスを考えれば高度なRAIDは必要なく、RAID1とMOやCD・DVD R/W、のバックアップを毎日取るという、組み合わせが安くて実用的です。RAID2から4は規格があっても、実際には絶対使わないので省略。

これらの規格は周辺機器を想定しているので,長さの許容範囲は合計数m。高速である=周波数がたかい=すぐに減衰する=距離が制限されるということです。パソコン同士はつなげません。

ちなみに、ブロードバンドも同じことで、ADSLは電話局から2Km以上はなれると8M以上の速度は実現できなくなる可能性が大です。 <P> では,何故LANの規格が遅いのか。マザーボードの周波数が上げられないからです。これはメモリーが遅いからです。SRAMにすればもっと早くなりますが,高価で体積が大きくてできないのです。CPUはSRAMで早くできても,DRAMが遅いのです。これが今のコンピューターの限界です。動画処理が本格的にできないのも,このためです。

C.コンピューター内部のデータ伝送の規格(バス)

1.ISA     16ビットで遅く消滅する規格。

2.PCI   32または64ビットで主流の規格。

3.AGP  32ビットでグラフィック専用の規格。

これで,周辺機器を購入する基礎知識は十分でしょう。

D.OSの規格

1.Windows 98、Me  16ビットベースをひきずり,消滅する運命の規格。現在使っているソフトに満足なら,しがみついているしかない。 今の業務ソフトが大切ならXPが出る直前の安くなったコンピューターに乗り換えて,大切に長く使うしかないかも。ソフトの互換性がなく,動かなくなる可能性が高い。業務用ソフトやワープロ・表計算が動いていればよいのなら、16ビットで割り切ってしまうのも良い考え。どうせ、人間が楽をするための道具にしか過ぎないのです。

2.Windows 2000、XP、  98ではあまりに規格が不便なので32ビットベースで開発。マイクロソフトはこれで生き残るつもり。98との互換性は疑問。98は見捨てられるでしょう。ただし、XPはコンピュターに入れると、マイクロソフトに電話かインターネットで許可を求めないと止まってしまいます。2000ならそんなことはありません。XPの周辺機器のドライバは2000と共通ですが、Meや98ベースは使えません。安定性は16ビットより数段上。XPは見かけがよくなっただけで、2000と変わらないという人もいます。XPにすると、ドライバ類を2000かXP用に変えなければならないのも面倒。

3.Windows NT   32ビットベースでいずれXPになる運命。これにもサーバ用などいろいろ規格があり,混乱してくるかもしれない。

4.UNIX  ワークステーション用OS。2030年以上のデータが壊れる可能性がある。ATTが開発。安定して信頼性が高い。

5.LINUX   サーバー用32ビット ドライバがなく、周辺機器の接続がやや困難。マイクロソフトにうんざりしている人々にうけている。雑誌の付録からインストール可能だが、結構煩雑。サーバとしては安定だが、ソフトを使ってみても、安定性はそれほどではない。98程度。改良される余地あり。

6.MacOS   32ビット 生き残れるか?多分グラフィック関係でしぶとく生き残れる。マイクロソフトも独占禁止法のためつぶせない。互換性は当分大丈夫か?

7.BeOS  32ビット。グラフィックに有利。生き残れるか? D.デスクトップかノートか

ノート型は表示画面とキーボードが離せません。これが諸悪の元凶です。目によい位置にすると,キーボードが離れ,腱鞘炎や肩こりの原因です。手に良い位置にすれば見にくくなります。両方に良い位置はありません。医学的には絶対デスクトップです。周辺機器をつなぐとほとんど動かせなくなることが多いのも考慮する必要があります。

付録
MOは書き込むとき,一度レーザーで活性化して,もう一度回転してきたとき磁気ヘッドで書き込みます。それゆえ,接続に高速の規格を採用してもあまり早くなりません。Zipも遅いので早い接続は必要ありません。

インテルの新しいCPUが安くなっています。競争激化なのでしょう。しかし,いつまで32ビットなのでしょう。ゲーム機は今や128ビットなのにです。

PC2100
PC2100やPC2700などはメモリの規格の1つ。PC2100は266MHzまでのクロック周波数に対応しているため、DDR266とも呼ばれる。DDR200やDDR333も同様。2003年にかけて、PC2100をRDRAMのように2枚使って4.2Gバイト/秒の速度にするチップセットが出る予定。

RDRAM メモリの規格の1つ。SDRAMやDDR SDRAMのDIMMに対抗するRIMMを採用している。RIMMを採用しているパソコン向けメモリはRDRAMしかないため、RDRAMとRIMMは同義で使われることが多い

規格名

通称

動作周波数

帯域

ピン数

デュアルチャンネル

シングルチャンネル

新規格

PC2-4300 DDR2 SDRAM

DDR2-533

533MHz

8.6GB/sec

4.3GB/sec

240ピン

PC2-3200 DDR2 SDRAM

DDR2-400

400MHz

6.4GB/sec

3.2GB/sec

240ピン

旧規格

PC3200 DDR SDRAM

DDR400

400MHz

6.4GB/sec

3.2GB/sec

184ピン

PC2700 DDR SDRAM

DDR333

333MHz

5.4GB/sec

2.7GB/sec

184ピン

PC2100 DDR SDRAM

DDR266

266MHz

4.2GB/sec

2.1GB/sec

184ピン

UltraATA/133 UltraATAの最速版。現在はHDDメーカーのMatroxの独自仕様となっている。UltraATA/100には約137Gバイトという容量の限界があるが、UltraATA/133には事実上限界がない (ネットランナー2002.09より)

規格名

帯域

ピン数

新規格

Serial ATA II

300MB/sec

15ピン

Serial ATA

150MB/sec

15ピン

旧規格

Ultra ATA/133

133MB/sec

40ピン

Ultra ATA/100

100MB/sec

40ピン

DDR-SDRAM
PC1600(DDR200) 転送速度 1.6Gバイト/秒 
PC2100(DDR266) 2.1Gバイト/秒 
PC2700(DDR333) 2.7Gバイト/秒

RDRAM(RIMM) 2枚一組で使う
PC800   転送速度 3.2Gバイト/秒   価格例1万2000円(6000円×2枚)
PC1066  転送速度 4.2Gバイト/秒

インテルチップセット
i845E ペンティアム4   FSB 400MHz/533MHz 対応メモリ PC1600/PC2100
i845G ペンティアム4   400MHz/533MHz           PC1600/PC2100
i850E ペンティアム4   400MHz/533MHz            PC800

SiS チップセット
SiS645DX ペンティアム4    400MHz/533MHz   PC1600/PC2100/PC2700

VIA チップセット

Apollo  P4X266A ペンティアム4   400MHz/533MHz    PC1600/PC2100


1999.03.01       2000.07.01
http://www.geocities.com/kawaiclinic/
〒6050842 京都市東山区六波羅三盛町170 河合 医院

初級システムアドミニストレーター 河合 尚樹

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