インフルエンザの予防接種について

1997年10月24日,下記の主張とほぼ同じ趣旨で厚生省「新型インフルエンザ対策検討会」の報告書が出ました。やっと,日本も世界の一般なみとなったわけです。これから,国の制度としての予防接種が復活するでしょう。加筆しましたので,お読みください。
1997.11.13

現在,日本では上記予防接種は制度として行なわれていません。こんな先進国は世界でも稀です。

どんなに安全な薬でも,特異体質のためショックを起す事はきわめて稀にあります。日本では,一部そうした被害者の強い運動,多数の国民の利益を無視し,医師の責任ばかり追及する司法関係者,迎合するマスコミ,7割の人にしか予防効果はないこと,国民の健康よりも自分の責任や出世を考える厚生官僚のため,予防接種は葬り去られました。予防接種をしても3割の人はインフルエンザにかかりますが,死亡例や,重症化することは防げます。インフルエンザが流行する年としない年では5000人から1万人の死亡が増加します。これらの人々に,予防接種を反対した人々が責任をとったという話は聞いたことがありません。弱いものは,淘汰されて死んでも文句は出るまいということでしょう。

接種時期が遅れると,反対する人達のいうとおり,罹感するのが(かかるのが)防げませんが,重症化や死亡は防げると考えられます。国立の小児病院でも,死亡例,後遺症例はすべて予防注射をしていない子だったそうです。

予防注射で障害の残る後遺症の確率は100万人に0.36人です。

20年間大流行はないので,ここ数年のうちに,世界的な大流行を引き起こす,強烈なウイルスが出現すると予想されています(パンデミックインフルエンザ)。日本での死者は10万人と予想されています。アメリカでは,軍隊関係が非常に熱心に研究し,軍人,警官,消防士などに,なかば強制的にに予防注射をします。世界的流行になると,ワクチンを禁輸処置にして,自国優先にします。前回カナダへではワクチンが手に入らず,パニックになりました。軍隊等の20%位がインフルエンザで倒れると,国防上危険であるという思想です。海外派兵にも障害が出ると考えて,風土病に関しても,熱心に情報を集めて,ワクチンを研究しています。

もちろん,強制する気はありませんし,受けない自由も認めます。しかし,受ける必要がある人が希望すれば,受けられる制度を残すべきだったのです。

数百万分の1の確率とはいえ,事故が起きることは避けられません。国の制度としてその被害に保障するのは当然ですし,国としては簡単なことです。しかし,1人1000円の利益で,時に1億円以上になる賠償は払えません。一個人開業医がこの稀な事故にたいし保障することは不可能です。よほどの奇特な医師でないと行なっていません。

知っていながら,するべきをせず,多くの死者が出るという構造は AIDSとまったく変わらないではないですか。今回は,マスコミも廃止の側にまわったことを,覚えておきましょう。マスコミの責任も覚えておきましょう。自分の健康は,自分の知恵で守りましょう。

厚生省や反対した人々は,今回の大勢の死者に対して責任はないのでしょうか。 抗議のfax 03-3508-4364へ。厚生省です。

1997.03
河合 医院
http://www.geocities.com/HotSprings/4347