リノール酸等ω-6系脂肪酸に注意しよう

〒605 京都市東山区六波羅三盛町170 河合 医院
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Abstract: The excess of Linoleic acid promotes cancer, atherosclerosis, and myocardial infarction, although linoleic acid is essential oil and needed 2g/day. LInolenic acid, EPA, and DHA decreases those diseases. Margarine also promotes myocardial infarction, compearing with butter. Long term observation revealed that Linoleic acid did not lower the cholesterol level, nor risk of myocardial infarction. I recommend to take more olive oil, fish oil, rapeseed oil for your health.

オメガ3系の油とは,DHA,EPA,リノレイン酸を多く含む。魚の油に多い。
オメガ6系の油とは リノール酸が代表。植物からできるものが多い。

発癌性で人間でのデータはまだない。

実験動物では以下のような結果がでている。

@DABによる肝癌発生率

普通食 53%
4.8%コーン油 80% (Ω6系)

ADMBAによる乳癌発生率

20%コーン油で2倍

BDMHによる大腸癌発生率

5%やし油  50%
20%やし油  85%
20%べにばな油 100% (Ω6系)

以上よりコーン油,べにばな油等リノール酸の多いものは発癌性増強作用が疑われているが,まだ確定していない。

なお,リノール酸のコレステロール低下作用や,心筋梗塞低下作用は,はっきり否定されてきている。効果なし。

逆に,ωー3系の魚油,しそ油等では癌の抑制作用が報告されている。

@DMHによる大腸癌発生率

べにばな油 47.7%
しそ油 18.2%

ADMBAによる発生した乳癌の数

べにばな油 6.5個/個体
しそ油 4.4個/個体

その他,ωー6系が悪いというデータはあるが,実験が複雑でまとめにくいので,省略。

アメリカで慢性間接リューマチに,魚油とコーン油をとらせると,魚油で症状改善が証明。

ラードとトウモロコシ油(ω6)を比べるとトウモロコシのほうが大腸癌が多かった。 ω3を総エネルギーの50%にすると抗癌剤の5FUと同じくらいの効果が,大腸癌にあった。5%にすると効果はなかった。(マウス)

かなり,専門的な内容かも知れませんが,以上で少しはリノール酸が恐ろしいことが解っていただけたでしょう。

まとめると

リノール酸の良い点

1.皮膚の湿潤化のために,一日2gは必要。

悪い点は

1.癌を促進する可能性が濃厚。癌遺伝子c-mycを活性化するというデータもある。
2.悪いプロスタグランジンを増加させ,アレルギーを促進する。
3.胆石の増加。
4.免疫抑制効果
5.食細胞機能低下により,ばい菌抑制力の低下
6.生体膜の流動化 
等多くあります。

以前コレステロール低下作用がいわれていましたが,否定されていますので,紹介します。

北欧で,心筋梗塞の予防の目的で一方は放置,一方は食事指導を行った大規模な研究です。5年までは,リノール酸やマーガリンによるコレステロール低下作用が認められました。しかし,それ以上ではコレステロールは対象群と同じでした。他の研究で,リノール酸でコレステロールは細胞から出ていかなくなりますが,徐々にコレステロールが細胞の中にたまって,ついには細胞からコレステロールがあふれ出ていくためであるとされています。さらに,15年めに,心筋梗塞の死亡率をみてみますと,リノール酸をとったほうが約2〜3倍になりました。さらに,癌による死亡も増加傾向がみられました。

リノール酸は必須脂肪酸ですが,肉などに多く含まれているので,普通の食事をすれば不足する事はありません。(栄養失調の難民などは配慮が必要)

以前の様に,植物系油は体によく,動物系油は悪いという単純な図式は崩壊していますから,注意してください。現在の油の選択基準を示します。

1.上に記載したとうり,オメガ3系のリノレイン酸を多く含むものがよい。具体的にはいわしの油等背の青い魚の油。
2.オメガ6系のリノール酸等を含むものは,動脈硬化を促進するのでさける。具体的には,べにはな油,大豆油等をさける。
3.オリーブオイル等1価の不飽和脂肪酸は以前は悪いといわれていたが,イタリアやギリシャの調査で,むしろ心筋梗塞や動脈硬化の予防作用があり,良いといわれている。

具体的には,油はオリーブオイルとなたね油(キャノーラ油)を主体に用いるとよいと思います。さらに,魚を多くとって,オメガ3系を増加させましょう。海草や,しそ,アボガドや根菜類にもオメガ3系のリノレイン酸が多いので,できるだけとりましょう。リノール酸のべにはな油はやめましょう。

よい油はすぐに酸化して,過酸化脂質になり,強く動脈硬化をおこします。具体的には,干した魚はかえって危険です。

オメガ3系の油を大量にとると出血傾向をきたすので,つぎの病気をした人々は医師への相談が必要です。脳出血,くも膜下出血,肝硬変,白血病,最近胃潰瘍など出血した人,その他出血傾向のある人。

また,別の実験で,バターとマーガリンを人体で比べた結果があります。マーガリンをとると,バターに比較して心筋梗塞が2〜3倍になりました。上のように,リノール酸の増加も一因でしょう。マーガリンを作るときに水素添加を行い,液体状の油を固体に変えます。このとき,化学構造は同じですが立体構造が自然界に存在しない立体構造ができるためではないかともいわれています。(難しい話ですみません)結論としては,マーガリンをとると動脈硬化がふえて,体に悪いということです。