低身長について

学校関係者向け?
お産のときに頭はかなりの圧迫をうけます。外から見ても,頭はかなり変形します。新生児のあたまのCTをとると,かなりの頻度に脳内の出血を認めますが,2週間位でひいていき,問題になることはありません。

脳下垂体は,文字どうり脳から細い糸のような組織でつながって,垂れ下がるように存在します。たまたま,お産のときにこのつながりが切れてしまうと,脳下垂体ホルモンの分泌がうまくいかなくなる場合があります。この結果として,成長ホルモンが低下し,低身長が起こっている場合があります。決して,遺伝病ではありませんので,誤解しないでください。血液検査と尿検査,レントゲンをとることにより,簡単にわかります。

余談ですが,アフリカのピグミー族は成長ホルモンレセプターが欠損しています。成長ホルモンが働かなくても,150cm位にはなります。

  以前は,解剖の遺体から貴重なお薬として精製し,全世界に流通させていましたので,絶対量が少なく,治療も大変でした。最近は,遺伝子工学の進展で合成可能となり,治療も気軽にできるようになりました。

拾いあげのスクリーニングは,成長曲線のマイナス2SDをわれば,検査を一度受けておいたほうが良いとされています。そうすると,人口の1%程度が引っかかることになってしまいます。こんなに,治療対象が多いわけはなく,大部分は,両親も身長がやや低い,体質性のものがほとんどです。 しかし,本人のコンプレックスや,治療は軟骨線の閉鎖する,思春期までに行わないといけないわけで,早期受診がすすめられます。

親や教師として必要なのは,3月毎に身長をはかり,身長曲線に記入して成長の記録をとっておくことです。一年間,成長がほとんど止まり,1から2cmしか変化しないときも,要注意です。この場合,ほかのホルモン(例えば甲状腺ホルモン)等の異常も考えられます。とにかく,以上の様な状態でおかしいと思えば,一度受診させて下さい。治療可能なものも多いということを忘れないでください。

ノボ ノルディスク ファーマ 株式会社へ連絡すると成長曲線表を送ってくれると思います。沐N間の伸び率もわかるのと,グラフだけのとがあります。1年間の伸び率も重要です。グラフにすれば-2SDかどうかすぐに解ります。
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六原小学校校医 河合 尚樹
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