低タール・低ニコチンとはどういう意味か


  

 

 

 

古くからある両切りタバコは、ニコチンは15mg以上あります。
それに比べると低ニコチンたばこは0.1mgの表示ですから、なんと150分の一ということで、健康によさそうです。150倍安全なように信じて、健康のために選んでいる人が多いでしょう。マイルドとかライトとついているタバコしか売れないのが現実です。低タールなら発ガン性も低そうです。

低タールなら癌が減りそうです。しかし、タバコ会社は多額の研究助成金をばら撒いて、御用学者も多く抱えていますが、低タールたばこで癌が減少したという報告はありません。また、低タールのタバコの葉が開発されたとか、タバコの葉を処理してタールを減らす技術が開発されたとも聞きません。

京都第一日赤では禁煙外来を開いています。そこでは、ニコチンの吸収量をみるために、尿の代謝産物コチニンを半定量しています。しかし、古いタイプのタバコを吸う人と、低ニコチンタバコを吸う人には差がないばかりか、低ニコチンタバコを吸う人のほうがニコチン量が多かったりします。

海外でも、このインチキが非常な問題となり、公聴会など開かれているようですが、マスコミはほとんど報道しません。

もちろん、表示がインチキなら大問題ですし、告発を受けます。表示は正しいのです。正しいのですが、0.1mgとだけ表示し、その意味が理解できなくしていること自体が、会社と大蔵省の詐欺に近い行為です。

ニコチンの測定法と表示は国際的に厳密に決められています。表示の0.1mgとは測定器で測った煙の中の濃度なのです。タバコの中の総量ではありません。

測定器は、吸い込み量35cc、吸い込み間隔60秒、吸い込み時間2秒です。これとて、実際の人間の吸い込み量とはかなり違うとカナダからの批判があるのですが、もっと陰湿なことが行われています。

測定器は弾力性のあるシリコンなどにタバコを差し込んで煙を吸引するのです。

濃度と総量は関係ないのもだれでも理解できることです。濃度を低くするには薄めればよいのは素人でも考えつきます。実際薄めているのです。正確なミリ数は器械の現物を見ていないので少し誤りがあるかもしれません。仮に、器械の差込口が3mmあるとします。実はフィルターの5mmのところに、一周するように顕微鏡が必要なくらい小さな穴が開いているのです。器械の吸引時にはこの穴から大量の新鮮な空気が吸い込まれ、濃度はさがるのです。これが表示値です。さらに、吸引圧力が減少するので、燃焼温度もさがり、発生濃度も減少する利益もあります。

それでは、人間が吸うとどうなるかといういうことです。人間がくわえると3mmでは不可能です。1cmは十分超えます。穴は全部ふさがってしまいます。つまり、人間はもっと濃い濃度の煙を吸うことになり、器械のようにはいきません。当然燃焼温度も高くなり、発生有害物質も器械より多くなるのです。また、ニコチン中毒の喫煙者は、無意識に、より濃度の濃い煙を吸い込むような工夫をしていると考えられます。血中のニコチン濃度を維持するのが喫煙の最大の目的だからです。機械より発癌物質を多く吸い込むのです。

低タールのタバコの葉が開発されたのでもなく、ニコチンやタールを処理して抽出する方法が開発されたわけではありません。

低タールたばこのほうが、発癌物質ニトロソアミンが増加するという報告があります。

実際測定してみると、ニコチン表示量0.1mgのたばこの一本あたりの含有量は15.03から9.53mgとなり、古典的なたばこと変わらないのが証明されています。ひどいのは、マイルドとウルトラマイルドを比べると、ウルトラマイルドのほうがニコチン総量が多かったりします。

また、表示ニコチン量と吸収量は相関はなく、吸収量は単純に本数に比例するという報告があります。

さらに、アメリカの公聴会などでは添加物が問題視されています。古いアメリカの特許には、タバコの満足感を増加させる特許、ニコチンの吸収を高める特許などが成立しています。タバコの添加物は微量であり、さらに煙り自体から非常に多くの物質が放出されるので現代科学をもってしても、何が微量添加物なのかは同定できません。

もちろん、はっかの成分などで爽快感を増しているのです。しかし、他の例をあげれば、微量のアンモニアが添加されています。これも、天然にも存在するので検出は困難です。アンモニアにより煙がアルカリ性になると気管支粘膜からのニコチンの吸収が増加するのです。低ニコチンと表示しながら、逆にニコチン吸収を増加させ、ニコチン依存から抜け出せないように画策しているのです。これぞ、満足感を増加させる特許なのです。

アメリカの裁判で、タバコ会社の内部資料が出てきて、そこでは、低タールを実現するとニコチン依存が減少し、危険であると書かれています。ニコチンを減らさないようにする努力がみられます。

多いものは100種類くらいの添加物が含まれているといわれています。もちろん、企業秘密をたてに添加物を公表しません。有害物もあると考えられます。

厚生省は反対しても、官僚の上に君臨する大蔵省は税収維持のためタバコ規制をもみ消します。国民の健康より自分たちの権益です。

もちろん、系列週刊誌やタバコ会社の清涼飲料水などで多額の広告収入を得ているマスコミは、低タールのからくりや、大蔵の下劣さなどをまったく報道しません。(例外はNHK)商業主義マスコミの君臨がもっとも恐ろしい言論統制なのです。死の商人の最大の協力者なのです。

結論
1.低タール・低ニコチンとは国際的な測定機器をごまかす工夫を、タバコ会社が開発できたということにしかすぎない。
2.低タール・低ニコチンとはタバコの発癌物質・有害物質さらに、タールやニコチン吸収量・総量とはまったく関係がない。
3.タバコ会社はニコチンの吸収を増加する工夫をしている。これは、ニコチン依存から抜け出せないようにする工夫である。
4.もちろん、ライトとかウルトラマイルドなどの表示を選んでも、心臓疾患、発ガン性を減少させるものではない。

2001.05.15 追記
タバコに重税を課すのは非常に有効だそうです。とくに、金をあまり持っていない中学生などが喫煙するのを抑制するのに有効です。15歳以下で喫煙をはじめると、それ以降の開始より2倍以上有害性が増すとの根拠があります。

EUでは,lightとかmildとかの「低タール」等を想像させる名前を禁止しました。うそ・詐欺的商法だからです。これが、世界の常識・日本の非常識です。

もう一つ重要なのは、「タバコを吸うとあなたの健康をそこなう」というような生ぬるい表現はだめになり、「周辺の人々に発癌など有害な影響がある。」との表記を義務付けます。いまや世界の常識は、タバコをやめられないというかわいそうな被害者面は否定され、「周囲に有害性を撒き散らす、犯罪的行為」という、喫煙者の加害責任を問おうというものです。これも、世界の常識・日本の非常識です。繁華街を歩くとタバコのにおいをかがされるという、野蛮な「先進国」など日本以外知りません。こういうことで、国民のレベルが露呈されるのです。

2000.12.01
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