肺癌のCT検診に死亡率減少はみられない


  

 

 

 

肺癌が死亡率第一位になります。健康には最大の問題です。

CT検診によれば1cm以下の微小肺癌が発見されます。偉大な進歩です。

CTで数mmの「癌」を切除してみると、結構癌でない病変が混在します。無駄な手術が増えるという危険もあります。

一方、早期のスリガラス状陰影は他の方法で発見できないのも事実です。

最新鋭の機械による検診は、非常に良いように思えます。検診業者も勧めます。
マスコミはすごいと持ち上げます。マスコミにだまされてはいけません。

2006年有効性評価に基づく肺がん検診ガイドライが発表されました。

そこでの結論です。「以上より、低線量CT 検診に関しては、現状では 証拠が不十分であると判断される。」

アメリカでも「1970 年代に米国を中心に行われ た4 報の無作為化比較対照試験の成績でいずれも検診の成績を否定する結果が報告されて以来、 肺がん検診に関係する研究は諸外国からはほとんど報告されないようになった。」

最近でも、アメリカ政府も低線量CTによる肺癌死亡率減少効果を熱心に研究していますが、良い結果は出ません。

「低線量CT 検診に関しては、死亡率減少効果に関する直接的証拠として1970 年代に行われた Mayo Lung Project と比較した報告が1 報だけで、信頼性の高い研究はいまだ報告されていない。」

日本の研究ではほぼ同じ結果ですが、はっきりした有効性は宣言できません。

しかし、被爆によるマイナスも無く、「X 線被曝によるがん罹患の過剰生涯リスクは、バックグラウン ドのリスクの大きさと比較しても、極めて小さいと考えられる。」

何でも最先端の高価な機械を振りかざして、最新治療・最新診断を追及すれば良いとは限りません。限界をわきまえたプロの利用が重要です。CT自体はきわめて有用な機械です。

結論
CT検診は死亡率減少に寄与する証拠はないので、現時点では推奨できません。

肺癌死亡率低下のもっとも有効な対処は、もちろん禁煙です。

ヘビースモーカーには旧来の喀痰細胞診とレントゲンの組み合わせの安い市町村の行う検診の方が、ある程度の有効性がありますのでお勧めですが、禁煙の方が重要です。

閑話休題
「禁煙を勧めるのは、嗜好の自由に対するファッショだ。」とは筑紫哲也氏の口癖でした。
わけのわからない、ダイオキシン有害説を振りまく立花隆氏と仲が良く、二人でよくテレビ画面上で喫煙していました。 最後まで、タバコ会社のテレビCMをニュース23で流していました。

早期肺癌だそうですが、早期にしては長い入院が気になります。

科学としては、禁煙が一番重要です。

2007.7.1
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初級システムアドミニストレーター 河合 尚樹

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