恐ろしいプラセンタ


  

 

 

 


コラーゲンを罵倒していると、だいぶ宣伝を控えてきているようです。

ところが、それに反比例してプラセンタ化粧品が増加しています。金儲けの種には困らないようで、盛んに宣伝しています。無知な消費者などちょろいものです。

プラセンタとは胎盤の英語です。つまり、胎盤抽出物を使った化粧品ということです。

以前は人間の胎盤を使っていました。産婦人科で捨てるものですから、簡単に安く手に入り、凍結保存しているようです。AIDSやC型肝炎の恐れなどで、牛を使うことが多いようですが、まだ、人間のものも出回っているそうです。

胎盤は妊娠の継続に必要な臓器です。単なる胎児への栄養補給装置ではなく、胎盤・胎児・母体の複雑な関係のなか、ホルモンを多量に分泌して妊娠継続に重要な働きを行っており、現在の医学でも十分理解できてはいず、人工的に胎盤機能を代用することも困難です。もしできるのなら、大量の未熟児が救われます。

化粧品に用いるのは、多量に含まれる女性ホルモンなどを利用しているのです。素人には神秘の働きかもしれませんから、おろかな女性に受けるのでしょう。

話は飛んで、化粧品の内容物には0.1%以下程度の微量な成分は表示しなくても違法ではありません。化粧品のなかには、0.1%以下のステロイドを混入しているものがあります。ステロイドを顔に塗れば、肌荒れに効果がありますので、お肌がすべすべします。素人は、「これを塗れば肌がきれいになる」と大喜びをするわけです。やめれば、また荒れてきますので、習慣的に使用してくれるので、業者は儲かります。

なお、アトピーに効くと思ってはいけません。アトピ−の方は、バックナンバーをとりよせて、「暮らしの手帖2000年10・11月号」を読んでください。これほど適切な解説はありません。さらに、久米宏とテレビ朝日がいかにひどいことを行ってきたかが詳細に理解できます。アトピー必読の書です。

女性ホルモンはステロイドホルモンの一種です。肌にも多少効果があるかもしれません。さらに意識的にかなりのステロイドを混入しても、元からある女性ホルモンなどに邪魔をされて、現代科学をもってしても混入の証明は困難です。

では、そんな混入を政府が取り締まらないのかと怒る人もいます。

検査機器には精度というものがあります。一般的には1000分の1を検出するのは不可能でないにしろ、高額の機械が必要になってきます。政府や検査機関も、限られた予算があります。ものすごく高額をかけて検出するのは現実的ではありません。他の製品に使用した機械を別の製品製造に流用することもあります。機械に付着した微量な成分を洗うのにも限度がありますし、原材料も微量成分は一定ではありません。ある程度の、混入を認めるのは現実生活では仕方ありません。しかし、逆手にとって、それを悪用する業者も出てくるのは仕方ないでしょう。

私がもっと主張したいのは、プラセンタの有効成分を維持するのには、高温の加熱殺菌はできないということです。つまり、人ならAIDSや肝炎のウイルスの混入、牛なら、プリオンや牛の病気のウイルスの混入を防ぐことはできないということです。

きれいになりたいという女心につけこんで、金儲けをする業者が悪いのか、それに飛びつく女が馬鹿なのか。当方は高みの見物です。

牛の血液をつかった医薬品ならこんなことは許されるはずはありません。厚生省の責任になるのですが、化粧品なら野放しです。早急に生物製剤の規制をすべきなのですが、役所は動こうとしません。

プリオンなら症状が出るのには20年くらいかかることもありますから、騒ぎになってからでは手遅れです。そこまでして、きれいになりたいですか?
患者さんでも、80歳にもなってまだ顔のことを気にする人もいます。男には理解できないことです。いつも「今から見合いでもするの」とからかっていますが、さぞ憎まれていることでしょう。

プラセンタやコラーゲンは、牛や人の生肉や生き血を塗りまくっているのと同じことなのですが、素人は平気で喜んでいます。病原菌を呼び込む可能性が高いのです。

これでも、わからない素人むけにはっきり書いておきます。人間の胎盤なら肝炎やAIDS等の感染、牛なら狂牛病の可能性が否定できないということです。豚や羊なら安全ということはありえません。

2001.05.15追記

世の中に100%安全であるものは、ほとんど存在しません。治療法とて、例外ではありえません。 白血病で他に治療法がなく、さい帯血移植しか治療法がないなら、医師の裁量権と患者の決定権で0.01%以下の危険を承知で治療を行うのは認めます。

しかし、「他人よりきれいになりたい」だの「若い肌でいたい」などの目的で使用するのは疑問です。 要は、得られる利益が本当に必要か、それに対するリスクはどの程度許容されるかということです。
化粧品に用いるのですから、繰り返し使用することになります。0.01%の危険でも、繰り返し、多数を混ぜたものを原料にすれば掛け算で危険性は増加します。さらに、利用者はばく大な数なので、0.1%としても、10万人が使用すれば、被害の数もばかになりません。
さい帯血移植なら、一度だけの危険で、得られる利益は莫大なものがあります。対象者も限られています。

私は、化粧品には不要と思います。それでも使いたい人には止めはしません。利益のためになんでもする倫理観のない業者と、それに乗せられている消費者を軽蔑するのみです。

2001.02.01
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初級システムアドミニストレーター 河合 尚樹

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