しらみについて

1997年の統計では発生の報告が8641人だと騒いでいます。とんでもない数字です。なぜなら,あたまじらみ駆除薬は年間33万人分も売れているからです。いかに,隠す人と組織が多いかが解るというものです。 1999.08.10改訂

専門外ですがまとめてみます。

しらみはかゆくありません。無症状のことが多いのです。一番の誤解です。血を吸っても痒くありません。素人考えですが,シラミの唾液にアレルギーが成立して初めてかゆくなるようです。蚊にさされても新生児は痒くないのと同じだと考えています。

毛に卵を生むので診断できますが,ふけと似ているので気付かないときがあります。卵は0.2mmでやや長細いです。半分よりやや皮膚に近い髪の毛に付いています。耳のうしろから後頭部に多いです。ふけとの鑑別点をあげてみます。

1.ふけは指ではさんで,軽く動かすと簡単に移動できるが,卵はつめをたててこすり取るくらいでないと動きません。

2.たまごは片側性です。全周性でぐるりと髪を取り巻いているのは,ヘアキャストといってふけの一種です。ヘアキャストは簡単に動かせるのが鑑別点です。

学校で問題になるのはあたまじらみです。

大震災で阪神間で流行しているようです。夏が主体でしたが,今は年中流行しているようです。虫は2〜3mmで色は灰から白です。血を吸うと黒っぽくなります。卵は34度以下でも以上でも孵化しにくくなりますので,落ちた卵による感染はほとんどありませんが,家では掃除機でていねいに吸い取ってください。頭を直接くっつけるか,頭をふいたタオルを共有するとうつります。プールが感染源になりやすいわけです。親虫も温度にきわめて敏感で,やはり落ちると死んでしまいますが,夏場など親虫は身体を這上がって来ることもあるようです。プールの脱衣所はは湿度も高く温度も高いので長く生きています。最近は温水プールで冬場でも感染するわけです。接触するようにタオルを掛けていると移動します。ロッカーでも感染します。幼稚園などでは床に直接ねころがったりするので感染します。親虫はバルサン等で処理します。乾燥させ,温度を下げるのも大事です。枕は危険です。毛虱と頭しらみは人間の頭と陰部で住み別けているくらいですから,動物間で移動することはないと思われます。(改訂)しらみは高度に進化した昆虫です。しかも,何万年にもわたって,宿主の動物に適応してきました。一種の有毛動物がいれば一種の虱がいるぐらい分化しています。ゴリラや,チンパンジーのしらみも人間には感染しません。

感染源は

帽子 くし タオル ヘアブラシ 寝具 まくら スカーフ マフラー セーター 体育マット 給食用帽子(特に共用は危険)

丸首やとっくりのセーターは,脱ぐときにまわりにまきちらしますので,前あきのものが良いです。

予防法は

1. 毎日シャンプーする。

2.髪の毛は短くする。できるなら剃れば完治できます。

3.上記のものを共有しない。

4.めのこまかいくしで良くすく。

ですが,これで治療にはなりません。

蛇足ですが,くしは竹製のものがよく,祇園で売っています。おかみさんは地方発送もするので,全国のだれよりも発生状況にくわしいです。ヨーロッパの日本人学校でも流行っているとのうわさです。

治療法は

1.まず騒ぎ立てること。学校とプール等にはすぐ連絡してください。恥ずかしいと隠していると,拡がって手におえなくなり,ひとりで治療しても,またうつされて結局自分も損をします。まわり全員で治療しましょう。 学校ではプライバシーを守りながら検査します。過去の例では,体重測定として集めて,みみあかの検査といって毛を見ます。親にはあとで個別に連絡します。

2.脱衣所 ロッカー 仮眠室 娯楽室等は普通の殺虫剤で駆除します。これらの場所では親虫も長く生きています。ロッカーは開けてバルサンをたきます。

3. 部屋は掃除器を丁寧にあてて,髪の毛を吸い取ります。

4. 布団はできれば3日位連続でよく干します。干した後丁寧に掃除器をかけます。布団乾燥の業者に頼むと確実です。ひどければ,スミスリンをまいて,しばらくしてから,良く掃除器ですいとります。虫は乾燥に弱いのです。

5.タオル シーツ 枕カバー等は洗濯後アイロンをあてると効果的です。衣類乾燥器の使用も効果があります。(コインランドリーも)

6. めの細かいくしにガーゼをかぶせて,よくすきます。いじめにあわないためにも,解りにくくなるまで行います。

7.頭にスミスリンパウダーをすりこみ,シャワーキャップをかぶり,1時間後に洗髪します。3日毎に4回繰り返します。卵は薬で死なないので,繰り返す必要があります。孵化する幼虫が次の卵を産む前に殺虫剤で殺す必要があるのです。

虫の駆除方法は医師にきいても解りません。保健所には害虫駆除ばかり専門にする係があるわけで,電話で問い合わせると親切に教えてくれるはずです。

毛虱は陰部の直接的接触,つまりはじめは不潔な買春でうつります。そこから,家族にひろがっていきます。このときは,徹底的に究明する必要があります。虱をうつすような人間はAIDSも持っている可能性が大きいのです。すぐにAIDSの血液検査を受けます。さらに,抗体は出来てくるのに3月以上かかりますので,6ヶ月位してもう一度陰性になるまで,AIDSの危険はあります。その間はコンドームを厳重に使用してください。スミスリンパウダーで治療します。

(改訂)まだ薬局でも知らないところもありますが,スミスリンLシャンプーが出ました。粉のスミスリンですと30分以上,できれば1時間待たねばならないのですが,シャンプーを泡立てて5分待つだけで良いので楽です。学校から指摘しても退治しない親さえいますが,これなら,学校で頭を洗えば済みますし,子供だけで退治するのも不可能ではありません。スミスリン

おまけに,卵の良くとれるすきぐし(櫛)もついています。退治にはなりませんが,卵が目立つといじめられることがあるので,目立たない程度に卵をとるのは大事ですし,他人に感染しにくくなります。

これだけ詳しくなったのは,うちの子も感染したからです。毎日風呂にはいる,衛生観念がある,知識がある,教育歴がある,清潔である,よく掃除をする,すべて関係ありません。世界的にかなり流行しているようです。京都だけでも,1998年夏は大流行といってもいいくらいでした。夏のプールを中止した小学校もあるくらいです。親も学校もスイミングスクールも,この件に関しては秘密主義で,それが状況を一層悪くしています。行政も指導する根拠の法律がないので,うまく指導できていません。DDT,BHCがないので退治しにくく,過去の感染だとの誤った認識が事態を困難にしています。結核と似たところがあります。

1998.12.05  改訂  
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