from Arch Gen Psychiatry, 1999 Mar, 56:3, 215-9 ; Brennan PA; Grekin ER; Mednick SA "Maternal smoking during pregnancy and adult male criminal outcomes. "
Mother's smoking 20/day increases son's crimes twice.
デンマーク，コペンハーゲンで男子を産んだ4169例の母親の，妊娠後期の喫煙本数と，平均34才になったときの逮捕歴と犯罪歴を調べたところ，本数に比例して犯罪者が増加しました。粗暴犯だけでなかったそうです。子供の犯罪常習者や，逮捕歴は一日20本でも約2倍になります。出生時の異常や養育環境，父親の犯罪歴などの，喫煙以外の因子は重要でなく，母親のたばこがもっとも恐ろしいのです。父親の犯罪歴がほとんど影響しないのは驚きです。母親の影響は偉大です。売名のため，科学的根拠のない憶測で，ダイオキシンで犯罪が増えるなどと主張する愚かなマスコミ関係もいますが，これほどはっきりしたデータがたばこにあるのを無視しているのは奇妙なだけなのか， 企業擁護の意図的なのか。非科学的なだけが真相というところでしょう。統計学，生物学の教育を受けていないための知識の不足は情けないばかりです。
たばこのニコチンだけでも，強い脳の神経伝達物質ですから，子供の脳の回路に影響するのは当然です。犯罪のかげにたばこあり。犯罪が2倍というだけでも恐ろしい数です。受動喫煙でも影響するでしょう。医療費，福祉費，税金を食いつぶす銃製造業とたばこ産業は世界最大の死の商人であり，さらに犯罪製造業です。
ダイオキシンで犯罪が増加するという報告はありません。もちろん，今後科学的に統計的な検証は必要になるかもしれません。しかし，すぐに対策をとれるものから着手するのが合理的というものです。根拠のないおどかしよりも，よほどましです。
もちろん低温焼却のたばこの煙にもダイオキシンは含まれています。しかも，直接体内に入れてしまいます。副流煙つまり間接喫煙のほうが多いでしょう。環境庁はたばこのダイオキシンを年間14gと見積もっています。たばこを吸う人間にダイオキシンを非難する資格はないのです。たばこを吸っているシーンを放映するなど非常識極まりありません。シンナーや麻薬の吸い方を放映すべきではないのと同様の理由です。
男性の癌の1位は肺癌になりました。先進国では戦後すぐから禁煙キャンペーンを初めていますから，最近は肺癌が減少しています。日本はますます増加するでしょう。禁煙対策から効果が出るのに30年位かかるからです。女性でも2位になっています。
日本女性の喫煙率が上昇しています。こんな情けないことはありません。10年で2倍だそうです。
このような論を出すと，母親だけに責任をかぶせると，怒る人達がいます。もちろん，父親へのたばこの影響は証明済みです。精子の染色体異常が多い。このため，奇形も増加するし，癌抑制遺伝子を傷つけ子供の癌も増加します。これは，ひとつには，たばこにより，ビタミンCが大量に消費され，染色体異常が修復されないためとされていますが，もっと根深い影響があるでしょう。
アメリカでは喫煙者は病欠が多く，癌などの医療費も負担が増えるので，就職時の採用，昇進の評価に差別する傾向にあります。企業や社会的費用を食いつぶすからです。
たばこは発癌性も,プロモーター作用（癌促進作用，出来てしまった癌を大きくする作用で，発癌性とは区別する。）も証明されています。時々マスコミがダイオキシンの"発癌性"を報道しますが，ほとんど誤りです。ダイオキシンはプロモーター作用のみで発癌性を証明するのは非常に困難です。マスコミはプロモーター作用と発癌性の区別がよく理解できないから，「ほとんど誤報」がまかりとおるのです。
これからも，たばこがいかに恐ろしいかが解るでしょう。ダイオキシン対策の前にたばこ対策を訴えているのですが 。先進国ではたばこの規制が重要視されますが，日本のマスコミはダイオキシンが大好きです。世界でも異常な少数派です。依存性，習慣性のあるたばこと犯罪の関係も報道されません。世論が形成されるはずもありません。
関連雑誌の広告収入に依存しているマスコミが，たばこ批判を自主規制しているために報道できないのです。ニュース23など，JTたばこ産業が直接のスポンサーです。ダイオキシンを出す零細業者をいくらいじめても，広告収入には影響しません。所沢の農家のダイオキシン放道訂正要求を無視しているTBSも，たばこ批判はしないものです。ニュースステーションもJTがスポンサーです。銃産業とアメリカ議員との関係と同じです。
たばこにも科学的に一つだけ良い点があります。たばこを吸う人間はアルツハイマーになりにくいというものです。ニコチンは強い神経伝達物質であるため，脳が刺激され，ぼけにくいものと考えられています。これより，胎児の脳に強い影響があるのも納得できます。だからといって，たばこも良いとはいえません。アウトバーンはドイツ発展の一助となったのは事実ですが，それだけでヒットラーを善人だといえないのとおなじです。極悪人も一生の内に一つくらい，うっかりと良いこともやってしまうことがあるというだけです。
2001.03.01追加
最近タバコでアルツハイマーや痴呆は増加するという論文が続々出てきました。統計は５から1％の危険率で誤った結論が出ることを容認しますが、その一例だったようです。タバコは脳血管の動脈硬化を促進し、ボケるのを促進します。タバコを吸うことにより利益が出ることはまったくありません。