恐ろしい健康食品セントジョーンズワート

セントジョーンズワートは日本名弟切草で,ハーブです。ごく一部の国では,うつ病に効くとされ,気分改善剤として用いられてきました。
1998年厚生省が健康食品として認めたため,日本でも発売されています。
2000年3月にイギリスの政府から危険であるとの警告がでました。
薬品や毒物をとると,肝臓で解毒されますが,セントジョーンズワートを取ると,肝臓の解毒に関係する,チトクロームP450(CYP)が増えてきます。これは多くの薬品の代謝に関係するため,他の薬を飲んでも分解され,有効な血中濃度にならなくなります。
また,急にセントジョーンズワートをやめると,チトクロームP450の分解促進作用がなくなるため,他の薬品の血中濃度が急増し,中毒症状が出ることがあります。

以下の製品に含まれます。
リーラックス   ミナト製薬
スィートドリームハーブサプリメント    コネクト
ジョンズワート    日本ファミリーケア
気分満点     コネクト
セントジョーンズウォルト   ナチュラルプロダクツ
セイヨウオトギリソウエキス顆粒     皇漢薬品研究所
気持ちが楽    マンナンフーズ

普通の人は,薬など飲んでいないので関係ないと思われるでしょうが,恐ろしいことに,経口避妊薬ピルも阻害するのです。これで,妊娠したら誰が責任を取るのでしょう。また,エイズの薬にも影響し,命を縮めます。

他にも,テオフィリン,ワーファリン,シクロスポリン,ジゴキシン,インジナビル,等にも影響し,事態は深刻です。

気分がすぐれないなら,医者に行けばよいのです。もっと良い抗うつ薬がありますし,他に病気が隠れているかもしれません。素人療法は怪我のもとです。

こういう重要なことですが,マスコミは製品名を報道しません。自分たちの利益にならないからです。企業を敵にすれば広告収入が減るからです。民衆の利益より,会社の利益です。むしろ,医者にしか使えない薬品なら製品名をよく出してきます。医者向けの薬品会社はマスコミのあまり良いお得意様ではありません。健康食品は数が多く,マスコミの広告収入の多くを占めており,重要なお得意様です。

むしろ,セントジョーンズワートは無責任な健康雑誌やマスコミにも紹介され,よく売れているようです。健康雑誌やマスコミのいう通りにして,不健康になることはよくあることです。健康食品を摂取して不健康になるのもよくあることです。

以前からこのホームページで述べているように,普通の食生活をしていれば,健康食品や補助食品を取る必要はありません。

指針としては,癌予防の食生活をすればよく,一日30品目を目標にし,外食を減らし,あまり精製されていない玄米や麦・芋類・豆類・穀物を主食にし,果物や野菜を多くし,魚を中心とすることです。また,いろどりよく赤.黄.濃い緑の野菜を取るのも重要です。これくらいなら,実行可能でしょう。
植物は常に光を利用し,強い紫外線にさらされています。紫外線の害や活性酸素の害から自分を守るために,濃い色の色素を生産しているのです。濃い色の植物は活性酸素除去の可能性が高く,癌予防に関連すると考えられるので,彩りよくするのは重要です。

もちろん,禁煙は最重要ですし,節酒も大事です。

2000.06.01

/kawaiclinic
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