水道は安全か 厚生省は水道の危険性を公認した

1997.09.07  
1998.09.25  改訂
アメリカや日本で水道が原因の下痢が集団発生しています。

動物の腸には広くクリプトスポリディウムが住んでいます。牧場等の汚水など,牛や豚の糞便で水が汚染され,これが,水道源に混入すると人間に感染します。問題なのは,クリプトスポリディウムは虫(原虫)なので,塩素では死なないことです。下痢患者の便を簡易浄化漕などで処理した水が,さらなる汚染源となり,被害が拡大します。クリプトスポリディウムが大量に水道に含まれていると下痢をおこします。 アメリカでの集団感染では数十人の死者が出たようです。(原著にはあったていません)

健康人なら,下痢だけで済みますが,AIDS患者や抗癌剤投与中で免疫力が低下している場合,白血病などでは生命の危険があります。

厚生省は「濁度などで安全性は十分確保できているので,問題はない。」と突っぱねていましたが,AIDS等ではどうなるのかとの質問をうけて,答えられず,急遽,「煮沸するほうがさらに安全である。」との見解を出しました。これは,事実上「日本の水道は安全とは言えない。」と認めたと解釈すべきものです。

クリプトスポリディウムは,先ほど述べたように虫ですので,加熱にはきわめて弱く,煮沸すれば安全です。

1997年9月,厚生省が河川の実態調査をしました。調査した94河川のうち,16河川で腸寄生虫のランブル鞭毛虫が検出されました。特に長崎県の大井出川には多数みつかったそうです。アメリカではこれが原因の,水道による集団下痢が何度も起こっています。これも,塩素消毒では死にません。もちろん,オゾン処理でも無理ですが,熱にはきわめて弱いのは クリプトスポリディウムと同じです。寄生虫の検出率は急速に増大しています。もちろん,海外旅行や,非加熱の生の魚や肉の影響が大きいので,水道だけが原因ではありませんが。

ミネラルウオーターの安全性について述べてみます。

ミネラルウオーターは,濁り,糸状の異物,亜硝酸塩の混入などで何度も回収処置がでています。フランス産の有名メーカーのミネラルウオーターでも亜硝酸塩の混入で,回収があり,世界的な問題になったことがあります。安全性にはおおいに疑問があります。地下の水脈でも地上の雨の影響は大きく,常に水脈の水は地上の川のように変化しています。異物が流れ込んでくることもありえます。地下水もいつも安全とはいえません。

地上に湧き出ている泉などはもっと危険です。ロンドンにもきつねが住んでいますし,神社やお寺の境内にもいたちなどがいます。ねずみが糞をします。それを追いかけて,イタチや狐が糞尿をします。流れている水を検査して,今日安全でも,明日は大腸菌で汚染されていることは良くあることです。確かに,湧き水などでコーヒーをいれてみると味がちがいますが,飲みたいのなら,煮沸することです。

結論として,水道水を含めて,生水は飲まずに,一度煮沸することです。

追記

97年9月19日,厚生省は水源に混入する微小動物等の安全性に関する研究会を発足させました。1年から2年後に答申が出るようですが,それを待っていては,自分の健康が守れないのは,AIDSをみてもわかるとおりです。

サントリーは,これらのために,関東圏でミネラルウオーターの売り上げがのびて喜んでいるそうです。

1998年8月,オーストラリアのシドニーで,今度は,ジアルディアなど別の寄生虫で水道が汚染され,水道水を煮沸するように,警告が出ました。歯を磨くのにも煮沸水を使用せよとのことです。他山の石ではありません。

2000年5月奈良の河川で汚染が発見され,奈良県は注意を呼びかけました。今の所,人間への被害はないようですが,厳重な注意が必要です。 2000.05.25

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