日本で福祉国家は不可能か


  

 

 

 

いろいろな国家観があり、小さな政府が今は流行のようです。
税金は少なく、競争は激しく、優勝劣敗の国家のようです。

誰だって税金は少ないほうが良いに決まっていますし、少ないなら受けられる福祉も限定されるのは仕方ありません。

ところで、財務大臣を務めた塩爺に「おもやでお粥をすすっているのに、離れで宴会をやっている。」と言わしめたのが日本の財政です。
おもやとは国の一般会計であり、離れは特別会計です。

面白い論説を発見しましたので引用します。

「小さな政府」のあるべき論と官僚の本質
2005年11月3日
マーケットエコノミスト 秋新作   株式会社FP総研

「政府規模を定義する」ということは、普通にイメージするほど簡単な作業ではない。例えば、政府規模=国の一般会計予算、として、GDPに対する比率をみると、日本は16%となり、英国、米国、仏国よりも小さい結果となる。次に、政府規模=国の一般会計予算+地方予算、とすると、日本の比率(GDP比)は37%となり、米国よりも大きくなるが、欧州各国よりも小さくなる。最後に、政府規模=国の一般会計予算+地方予算+特別会計、とすると(諸説いろいろあるが)、GDP比は50%程度となり、政府規模が大きいとされるスウェーデンとほぼ同等となる。

ここが役人のカラクリです。われわれは既に福祉大国スウェーデン並みの負担を支払っているのです。
それが、見えないようになっているだけです。

たとえばガソリンには、「揮発油税」と「地方道路税」があり、それぞれ1リットルあたり、揮発油税48円60銭、地方道路税5円20銭、あわせて53円80銭になります。目的税であり、必要も無い無駄な道路整備に使われていて、福祉にまわる事はありません。

一般財源に使えるのは直接税と消費税のみであり、これを「税金」や財源とのみするなら、福祉大国には絶対になれはしません。
そして、「特別会計」からは特定業者と官僚の既得権益・天下り先に流れていくのです。無駄遣いです。
特別会計が「はなれで宴会をやっている。」のです。

道路財源では無駄な道路を作りすぎてもまだ余ってしまい、本四連絡橋公団の借金返済に使う始末です。これは、本来規定されていない使い方です。

使いきれていないのですが、道路目的税を一般財源化しようという議論が提唱されています。 ところが、日経連奥田会長は「まだ、道路は日本に必要だ。」と直ちに声明を発表し、反対運動を繰り広げています。

自身の業界の利益のみを追求し、国の赤字国債等への配慮は微塵も見られません。国家より自身の利益のために動く立派な財界代表です。百万人反対署名運動を繰り広げるそうです。関連企業取引の圧力をかければ簡単でしょう。

国益より財界益、財界倫理より自社企業利益です。これが財界トップの姿です。立派です。さすがトヨタ魂です。

規制緩和委員会など財界の回し者ですから、福祉のちっぽけな無駄は声高に叫んでも、これほど巨大な税金の無駄には何の言及もしません。会社が進出すればすべてうまくいくとしか言いません。

どう考えても、おろかな国民は「年金増額など高福祉国家になれば、とんでもない税負担が待っているのだ。」と説明・恫喝され、素直に従っているようにしか見えないのです。しかし、現実にはすでに福祉大国スウェーデン並みの負担を支払っているのにです。ガソリンに限れば、消費税率50%は既に達成しているのです。しかも、それは官僚・財界・特定業者の無駄遣いに使われているのです。福祉に使われる事はないのです。

(税制は専門外ですが、たぶん)世界一に近いガソリン消費税。それを食い物にする役人と建設業者・関連業界。さらに、そのうわまえで利益を得ようとするトヨタ。そのために規制温存・既得権温存を叫ぶ財界トップトヨタ。利権に群がる道路族議員と同じ発想です。いったいどこが規制緩和なのだろう。トヨタの利益に反するものは規制緩和してはいけません。これでは福祉はできるはずがありません。年金・福祉を抑制し、増えるのはトヨタの利益。

スポンサー最大手で、営業のためには批判できない新聞・テレビも同類です。規制改革委員会は、財界利益のための機関です。

財源問題はどこを削り、どこを増やせば良いかは自明と言うものです。


2005.12.1
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そうそうたる一流企業が並んでいます。これらのかたがたも税金を食い物にされるようです。財界など、こんなものか。