27-Dec-97 記


97年クリスマス
ミュンヒェンの教会音楽巡り

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おことわり

この一文、「旅行記」コーナーに入れるつもりで書き始めたのですが、気が付けば全然「旅行記」になっていません。そのうち補筆・再整理します。折角ここまで書いたので、今日のところはこのままUPさせてください。あしからず。



まえがき

子供の頃の「ピアノのおけいこ」以来、趣味としての西洋古典音楽との付き合いが長い。それゆえ11年前の初めての欧州旅行では「本場のオペラとコンサートの雰囲気に触れること」も目的の一つとしていたが、その時オペラやコンサート以上に印象深かったのが教会堂で聞く教会音楽である。理由は単純かつ幼稚だ。東京にいても、金さえ出せばヴィーン国立オペラを見ることもベルリンフィルを聞く事もさほど難しくないが、石造りの広い教会堂のとてつもなく長い残響の中でオルガンや聖歌隊の歌声を聞く機会は皆無に近いからだ。

ここで白状しておくが、妻も僕もキリスト教信徒ではない。しかしながら、ヨーロッパ文化に、とりわけバッハやモーツァルトの音楽に、あるいはロマネスクやゴシックの教会堂建築に興味を持つ者としては、ちょっと不謹慎な言い方かもしれないが、キリスト教もまた「興味」の対象なのだ。

そんな我々夫婦にとって、最初の旅行はタイミングが良かった。12月の上旬、ドイツ語圏では「アドヴェント」と呼ばれるクリスマス前4週間の特別な時期である。この時期、教会では様々なコンサートや「クリスマスのお歌の会」の類が頻繁に開かれる。

音楽に力を入れている教会では「教会音楽プログラム」のビラや小冊子を印刷して配布していることも多い。これを見ると、どの日にどんな音楽が礼拝の中で使われるか、またどんな特別音楽会(礼拝とは別に)が開かれるかが一目瞭然である。最初の旅行の時、たまたまミュンヒェンのドーム(聖母教会)の教会音楽プログラム小冊子を見て、クリスマスには3日連続で大掛かりな音楽付きミサが行われることを知った。

実は最初の旅行というのは新婚旅行で、まだそれほど「欧州かぶれ」していなかった当時は「一生に一度の欧州旅行」くらいのつもりでいた。ところが、この旅行が終わったころには「ぜひもう一度!」となり、結局2年後にはクリスマスの音楽ミサを目当てに再度ミュンヒェンを訪れ、後年には同時期にヴィーンを訪れたりもした。

92年の秋からドイツで駐在員生活を送っているが、最初の2年はそれぞれの居住地(デュッセルドルフとフランクフルト)でクリスマスを過ごし、その後は94年:ミュンヒェン、95年:アウクスブルク、96年:ヴィーンと来て、今年97年は3たびミュンヒェンでクリスマスを過ごすことにした。残念ながら24日〜26日の2泊3日だけの短い滞在である。



なぜ、南独・オーストリアばかり?

なにぶん年に1回しかないクリスマスなので各地の情報をみっちり調べたわけではないが、「オーケストラ伴奏付きの大規模な音楽ミサ」を狙うなら、南独もしくはオーストリアの大・中都市が最も充実しているようだ。言うまでもなく、これらの地方はドイツ語圏でかつカトリック圏である。

ドイツのプロテスタント系教会の場合、礼拝中の音楽はオルガン伴奏によるシンプルな讃美歌のみのことが多いようだ。こういう所では、バッハの「クリスマスオラトリオ」なんかを礼拝とは別に「教会コンサート」として演奏することが多い。「ようだ」としか言えないのは、掲示板等からの情報ではそのように見受けられるため、結局クリスマス時期にプロテスタント系の教会の礼拝には行ったことがないから。

デュッセルドルフ周辺もまたカトリックが優勢な地域で、結構大掛かりな音楽ミサも行われていたように記憶する。フランクフルト周辺は旧教・新教の両派が混在拮抗する地域であるが、ことカトリック系教会のミサの「音楽」はシンプルで地味なもの(言い換えれば、音楽を多用しないもの)が多かったように思う。とは言っても、両都市とも最初の年の一回しかクリスマスを過ごしていないので、このあたりの記憶には今ひとつ自信がない。

チェコのプラハへは、クリスマス時期ではないが復活祭の時に行ったことがある。この時の教会の掲示板からの類推では、ミサではあまり「派手な音楽」は多用しないようだ。

フランスは....週末旅行ではわりとよく出かけるのだが、地方都市の教会の掲示板を見る限りでは、ここでも「派手な音楽」は多用しない模様。

イギリスでは....初めてのイギリス旅行の際、ちょうど日曜日にカンタベリーに居たが、カンタベリー寺院では「見るからに観光客のなりをした者」は礼拝時は締め出された。

日本では....白状すると、友人の結婚式、教会で行われるコンサート、オーケストラの練習場所として使わせてもらったこと、以外には教会に行ったことがない。



今年のプログラム

最後に、今年のミュンヒェンの著名3教会と、インゴールシュタット(ミュンヒェンの北約60キロの所にある中都市)のミュンスター(司教座聖堂)の、97年クリスマスの教会音楽プログラムを紹介する。

「著名3教会」とは....ちょっと乱暴な言い方をしてしまったので弁解したい。そこで演奏される教会音楽の規模のことを考えると、どうしても著名な大教会が主な対象となる。ここで取り上げた3つの教会は、いずれも観光ガイドブックにも出ているミュンヒェン中心部の大きな教会であり、かつ過去の経験では「教会音楽ファンにとっては狙い目」であったからに他ならない。

これらの情報は、12月24日の昼間に現地へ赴いて、「配布プログラム」があればそれを持ち帰り、なければ掲示板の記載を手帳に写しとったものである。とは言っても、わざわざこのHPに載せるためではなく、自分たちのスケジュールを決めるために調べたものである。今時、メジャーなオペラやオーケストラの年間予定はWeb上でも調べられるのが少なくないが、このような教会音楽プログラムもWebで調べることができるかどうかは知らない。ヴィーン辺りなら観光局のページで調べることができるかも....

なお、我々が参加したミサ・晩課に★を付けた。結果的には主要3ミサ(24日深夜と、25日・26日の朝)ともすべてミュンヒェンのドームへ赴くこととなったが、これは「まだミサ本番では聞いたことがない曲」を選んだ結果である。


--- 聖夜(12月24日夜) ---

★ミュンヒェン、ドーム(聖母教会) (22:00開始)

   今年の選曲(?)を一言で説明するのは難しい。だいたいこんな感じ。
   ・中世後期のオルガヌム(楽曲様式の名前)の入祭唱
   ・ヘンデル作曲「メサイヤ」より、3曲
   ・ミサ本体は、主にグレゴリア聖歌およびルネッサンス期のコラール、
    ドイツのいわゆる「クリスマスの歌」等をとりまぜて構成。
    うち、「Sanctus」だけはシューベルトのミサ曲より
   ・最後に、「きよしこの夜」を斉唱

 ミュンヒェン、聖ミヒャエル教会 (22:30開始)

   ・モーツァルト作曲、「戴冠式ミサ曲」

 ミュンヒェン、聖ペーター教会 (24:00開始)

   ・ケンプター(Kempter)作曲、「田園ミサ曲」

 インゴールシュタット、ミュンスター (24:00開始)

   ・ハイドン作曲、「太鼓ミサ曲」


--- クリスマス第1日ミサ(12月25日朝) ---

★ミュンヒェン、ドーム(聖母教会) (10:00開始)

   ・グレゴリア聖歌の入祭唱
   ・ミサの基本構成部分は、モーツァルト作曲、「ミサ・ブレヴィス」(D-dur, KV194)
   ・途中、グレゴリア聖歌のアレルヤ唱等を組み込み。
   ・最後に、ドイツのクリスマスの歌を2曲、斉唱。

 ミュンヒェン、聖ミヒャエル教会 (09:00開始)

   ・ハイドン作曲、「ミサ・ブレヴィス」(B-dur)

 ミュンヒェン、聖ペーター教会 (09:00開始)

   ・ケンプター(Kempter)作曲、「田園ミサ曲」

 インゴールシュタット、ミュンスター (11:15開始)

   ・オルガンミサ(詳細不明)


--- クリスマス第1日晩課(12月25日夜) ---

★インゴールシュタット、ミュンスター (18:00開始)

   ・「クリスマス・キャロルを交えた晩課」(イギリスの少女合唱団を迎えて)


--- クリスマス第2日ミサ(12月26日朝) ---

★ミュンヒェン、ドーム(聖母教会) (10:00開始)

   ・シューベルト作曲、「ミサ曲」 (D-dur, D167)

 ミュンヒェン、聖ミヒャエル教会 (09:00開始)

   ・ディアベリ(Diabelli)作曲、「田園ミサ曲」

 ミュンヒェン、聖ペーター教会 (09:00開始)

   ・シューベルト作曲、「ミサ曲」 (B-dur, D ? )

 インゴールシュタット、ミュンスター (10:00開始)

   ・ハイドン作曲、「太鼓ミサ曲」


--- クリスマス第2日晩課(12月26日夜) ---

★インゴールシュタット、ミュンスター (18:00開始)

   ・オルガンとオーボエによる「羊飼い達のクリスマスの響き」を交えたミサ





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