秘密
3

「あっ…」
 初めて人の手で与えられた刺激に、関口は強い衝撃を覚えた。そのままそれに追従したい思いと、逃れたい思いとが交錯し、それが更に刺激を強めて行く。慄き震えながら、身体を弄られる毎に打ち寄せる波の正体をもっと突き止めたいとも思う。それは不思議な感覚だった。
「気持ち良いかい?」
 中禅寺が関口の最も敏感な部位を露わにさせ、軽く扱きながら言った。そう言われ関口はこの感覚が快感だという事を知る。ぞくりと背中を何かが這い上がるような感覚。脳の奥が白濁し、血流が滞り痺れて行くような。そして総ての血液が、弄られている部分に向かって集中し熱を持つ――熱い、息が上がる。
「は――あ」
 びくりと震える。緩慢な刺激に、関口は心地良さだけでは堪えられなくなり、知らず腰を突き出していた。だが中禅寺は尚も緩やかな愛撫を続け、そこここにひっそりとしたくちづけを繰り返す。そのくちづけにさえ、関口はもっと強くと願わずにはいられなかった。
「中禅寺先生…」
 関口はうっすらと涙すら浮かべて、哀れともいえる声で訴える。中禅寺は関口の耳許に息を吹きかけるように僅かに掠れた声で言った。
「なんだい?」
 そして中禅寺はそのまま耳朶を甘噛みした。その心地に関口は息を乱す。
「あ…どうしたらいいの?このままじゃ…僕――」
 どうにかして欲しいとは言えずに、関口はどうすべきかを問うた。どうにかなりそうだ。いや、どうにかなりたい。淡い笑みすら浮かべて関口を見下ろす中禅寺の表情を見て、関口は重ねて言った。
「教えてくれるって…言ったよね」
 その言葉に中禅寺は応えるように深く執拗にくちづけた。絡めとられた舌が淫らな音をたて、関口の思考を奪う。
「勿論、教えてあげるよ」
 唇を離し、中禅寺はそう言って関口の頬を撫でた。関口はうっとりと中禅寺を見上げる。
「膝を立てて、足をもっと広げてごらん」
 関口は言われた通りにする。鼓動が高鳴り、身体中が脈打つようだった。中禅寺は関口の中心に顔を埋めると、指先でその根元を扱きながら、舌を絡ませきつく吸いつく。
「ああっ」
 待ちかねていた刺激に、関口は仰け反った。立てた膝ががくがくと震える。あまりの快感に心が竦むのか、足を閉じてしまいそうになった。が、中禅寺の手がそれを阻み、内腿を押し上げるように撫でる。意に反して震え続ける関口の足が伸びてしまうと、中禅寺はそのまま足を自分の肩に掛けた。腰の持ちあがった状態に少し息が詰ったが、それ以上に快感が関口を支配する。中禅寺の手が関口の双丘を揉みしだき――拡散して行きそうな意識をふいに呼び戻すものが訪れた。
「やっ、何――?」
 中禅寺の指の在処――自分でも触れた事の無いその場所に、関口はうろたえた。ほんの僅かに押し入れられた指による痛みと異物感。だがそれがゆるりと動く度に、例え様の無い感覚が少しづつ湧き上がった。
「最初は辛いだろうけど辛抱してくれよ。色々――教えてあげるから」
 辛いと言われて関口はたじろいたが、中禅寺に抗う理由など何処にも無かった。関口は涙の溜まった眸で中禅寺を見つめながら微かに頷いた。
「いい子だね――」

馬鹿丸出し話…
それでもまだ続く(^^;)