農 薬 汚 染

 日本の農業(特に稲作) の農薬需要量は、年間約45万トンで約4,000億円市場(生産金額ベース)といわれている。

農薬の生産出荷量内訳は、殺虫剤(34%)、殺菌剤(23%)、殺虫殺菌剤(12%)、除草剤(26%)、その他(5%)となっている。

農薬の生産出荷金額内訳は、殺虫剤(34%)、殺菌剤(24%)、殺虫殺菌剤(7%)、除草剤(31%)、その他(4%)となっている。

登録されている農薬の種類は、殺虫剤(2,168)、殺菌剤(1,233)、殺虫殺菌剤(823)、除草剤(931)、その他(434)の5,589件となっている。(平成7年9月現在)

   最近の農薬利用の特徴としては、
従来は、雑草の繁茂に合わせて、2〜3回に時期をずらして散布していたが、近年は1回の散布で効果が持続するもの(一発処理剤という)が普及拡大しつつある。

   特に、従来の薬剤と単位面積当たりで同等の効果がありながら、三分の一に軽量化されたもの、散布機が不要なもの(フロアブル剤という)が主流になりつつある。

農薬使用や量は、その年の病害虫の発生状況に影響を受ける。

   ここでの問題点としては、
最近無農薬や減農薬といったことが流行しつつあるが、特に減農薬については、使用量は減っても、その分残留性が高かったり、強力だったりすることが懸念される。
また、これら農薬が適正な管理のもとに適正な量が使われているかという検証はしにくいのが現状である。

   農薬に関する最近のトピックスとしては、
愛媛大学農学部の脇本忠明教授らの研究グループは、県内の松山平野を流れる河川水質を調査した結果、水田除草剤のCNPから出るダイオキシン類による汚染の割合が最高で90%にも達しており、CNPは、これまでも日本で大量に使われていることから、全国的な汚染が懸念されている。

   調査結果では、PCDDsとPCDFsを合わせた総濃度で最高値15,000ピコグラム/リットル、平均120ピコグラム/リットルであり、殆どの地点でPCDDs濃度が80〜90%をしめる。
 現在、日本では毒性が最も強いとされている、2,3,7,8-TCDDを指標に換算するTEQ(毒性等価換算量)が用いられている。CNPからでるダイオキシン類の毒性はゼロとみなされており、同指標では最大2.5ピコグラム/リットル、平均値0.4ピコグラム/リットルとなる。
 しかし、2,3,7,8-TCDD以外の異性体の毒性に関する情報は不足しており、 TEQだけでの汚染評価への懸念が指摘されている。不足しており、 TEQだけでの汚染評価への懸念が指摘されている。(環境新聞より)

   農業の環境影響問題は、OECDやウルグアイラウンド等で取りざたされ、日本国内でも関係者の間で議論された経緯はあるが、国民の前で大きく議論されることは少なかったのが、現状である。そうした、背景には、日本国民のパニック化とか、食料生産への影響といった、生産者や関係産業界への配慮が優先されたことがあげられる。また、この問題について、今後も国民が騒がないうちは、関係者の間で若干議論や検討がなされるままであることが考えられる。
                                
(管理人質問:  これだけの農薬をあの耕地面積の少ない日本で使っているとは、信じられません。それをしないと、本当に収穫料に影響があるのでしょうか?)

   確かに病害虫の問題は現在のところ農薬以外に効果的に対応する方法はありません。
しかし、稲作等でカルガモを水田に放し、カルガモにこれら害虫を駆除させる方法や、害虫の好むフェロモンを人工的に発生させ、作物から遠ざける方法等がありますが、手間や価格の問題で爆発的な普及にまで至っておりません。

    また、農薬の使用については、作物生産拡大というなかに、米国が先進といわれる大量販売の経済論理が大きな影響があります。すなわち、米国には穀物メジャーが存在し、彼らは世界の食糧戦略や戦術を駆使して、いわば世界覇権を常に考えています。唯一これに対抗しているのは、欧州だけですが・・・・・彼らの経済論理は、我が国のような閉鎖的とも言える農政を国際政治の舞台で破壊させながら、自分たちの覇権拡大を図ってきたのです。
しかし、米国の農地は化学肥料や農薬で生産性が落ちる中、自国生産物の輸出における限界を感じ、最近では、種の輸出をもって、世界の農業生産を手中に収めようと考えています。 すなわち、ハイブリット種の輸出販売です。これは、遺伝子操作等によって生産効率の良い一代雑種を作り上げるもので、二代目は全く異質ともいえる程に成長がまともにできないものです。こうしたハイブリット種は、生産性が良いということで、比較的積極的に輸入され易く、一度使ったら、そのすばらしさの虜になってしまう、いわば麻薬的種とでも言えるでしょう。  しかも、この種は毎年輸入しなければなりません。自国での生産技術の問題もさることながら、特許等で技術保護がなされているのです。 したがって、農薬の問題を農家や一国の問題として論じることは、容易ですが本質的な問題解決のためには、グローバルな問題を加味して考えなければならないのです。これは、農薬問題に限ったことではありませんが・・・

    ですから、地球環境問題は、常に人間の、世界の問題として考える必要があるのです。 しかも、こうしたグローバルな視点での検討や対応は、これから益々必要不可欠となり、これらに対応できない国は、落ちぶれて行くしかないのです。        以上。



 
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