千葉 敦子著書「死への準備」を読んで
3/5/2000管理人
  死去する、2日前まで仕事しながら闘病生活をしていたジャーナリストである千葉さんの生きることへの悲愴感でなく、仕事への執念でなく普通の人のような生き方こそがベストであると言いきる生き方に只感動と言わざるをえない。

 日本との比較も所々に出てきているが、乳がんと判ってからNYに移り住み、多くの友人に助けられながら、一人で仕事をしながらの闘病生活は見事な生き様だと思う。決して回りに甘えるのでなく、いつも自分を失わず、次々と予定を作り、相当大変と思う時期に引っ越しまでしている。近くとは言え、NYの近くの劇場に足を運びコンサート、バレエなどの楽しみも忘れない。日本の場合はどうだろう。日本は兎に角、入院を強要され、それほどでなくても、その為に足腰は弱り、足腰が弱ると益々、動くことが少なくなり体は益々弱ってしまう事になる。挙げ句の果ては院内感染また肺炎に罹って死亡するケースが増えているという。入院することが必ずしも安全とは言えないと言うことになる。

  この本を読んでいると、今は、これと言った病気がある訳ではないが重病人だからと言って病人らしくしているより、真っ直ぐ目標に向かって明るく生きてみたいと強く思う。いつか、誰でも平等にやってくると思うこのような最後の時期に人は如何生きるかによって、残された者に与える影響は計りしれない。彼女の場合は家族は日本にあり、単身NYに移り住み、生涯独身で頼りは回りの友人であった。又、友人関係を築くべく努力も伝わってくる。何か事ある事にパーティーを開き常に良き友人達に囲まれている。何かにつけて、多くの友人が分担して援助している。それは、彼女の生き方に賛同した友人達の自然な行動だったのだろう。既に、他界されて10年以上は経っているが、多くの日本女性達また患者達に勇気を与えた生き方に対して心からの冥福をお祈りしたい。


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