NGOのあり方とは

(藤前干潟埋立て中止に至るまでの経緯の中でNGOの動き方をつぶさに観察され、
今後の全般にわたるNGOのあり方はどう有るべきか分析して頂きました。)

  NGOの方があれだけの年数をかけてやったことがわずか数か月で方向が見えたとどういうことでしょうか。ここにNGOの今後のあり方のヒントがあると思います。日本の場合、やはり国、地方を問わず行政の力なくして環境問題、自然保護問題が進まないと言えます。これまでのNGOのやり方は悪く言えば、行政を批判して鼓舞するやり方を取ってきました。この方法では行政がNGOの意見を聞こうとするよりも、被害者的な意識を持って無視しようとする方が多かったように思います。藤前についても同様ではないでしょうか。また、地域住民の理解が大事なのですが、最近までこれが軽視されてきたように見えます。地域の理解が得られないから、よりセンセーショナルなアクションを起こし、それがさらに地域住民を遠ざけ(日本では欧米式のセンセーショナルな活動を行っている人に対し、「危ない人たち」として避けこそすれ、まじめに話を聞こうとしない傾向が見られます)、活動が孤立してしまうという現象が見られました。人に知ってもらえないから運動が大きくならない。従って行政に対しての働きかけも空回りに終わってしまうという繰り返しだったのかもしれません。行政に対してはやたらに怒るよりも、きっちりとした情報を適当な部署(これも大事)に提供し、行政の活動を支援するような体制がとれるのが望ましいと考えます。今回は環境庁が独自のデータのみならず、NGO、研究者のデータを十分に利用でき、埋立て、あるいは人口干潟代替案が藤前を利用する鳥たちに多大な影響を与えると断言できたことが大きく影響していると思います。
 一般の方々の賛同を得るにはマスコミの協力が不可欠です。マスコミの協力により、地元の限られた地域にしか知られていない問題が地方、県、国の問題にまで広がります。NGOの活動において、マスコミの利用をうまく行う必要があると思います。先週名古屋の会議に出席したおり、地元NGOのある方に久しぶりにお会いしました。昔は正論はおっしゃるが峻烈な方という印象が強かったのですが、マスコミ関係者の無知な質問に対してもきっちりと問題提起をなさるまで変身されていました。マスコミや一般大衆に対しては問題提起をして相手に考えてもらうようにするか、実際にその自然なり環境に触れてもらって、その重要性を認識してもらうかが必要です。今回の成果はマスコミを味方につけたことも大きいと思います。
 ただ、ここまでギリギリの時期にまでかかってしまったのは、NGO側のやり方がこれまで試行錯誤でうまく回っていなかったからと思えます。
 大規模なデモ運動も大事ですが、マスコミや行政との連携という地道な活動も大切なのではないでしょうか。
   (藤前干潟ゴミ埋め立て計画を名古屋市が断念  ー  日本最大級の渡り鳥飛来地である名古屋市の藤前
    干潟に、ゴミ処分場を計画していた名古屋市は、環 境庁、住民、NGOなどの強い反対を受けて同計画
    を断念しました。それを、ずっと側で、見てこられたのですね?特に行政に対してはやたらに怒るよりも、きっちりとした情報を適当な部署(これも大事)に提供し、行政の活動を支援するような体制がとれるのが望ましいと考えます。又マスコミや行政との連携という地道な活動も大切・・・説得力ある発言です。)



 
HOME
エコロジーの提案
NEXT