東海村臨界事故で感じる事
10/15/1999  管理人
  9月30日、「安全」、「クリーンエネルギー」と言われ続けてきた原発事故が日本で今までの最悪の状態で起こり、日本ばかりでなく、世界にも衝撃が走った。私はこの時、原発反対運動を繰り広げている知人の事を思いどんな気持ちか考えずにはいられなかった。彼は福島原発の近隣の街に住んでいる。下記にコメンを寄せて、頂いた。

  日本は世界で唯一原子力爆弾を落とされ、その放射能の恐ろしさを嫌と言うほど
知り尽くし、世界の先頭にたって世界の核実験にも反対してきた国であった筈だ。しかし、国内の至る所に原子力発電所はあり、これからも増える傾向だと言うではないか。放射能廃棄物もかなり深刻な状態なのだ。時は21世紀になろうとしている時、もし、事故が起きた時、何十年も人体・環境に悪い影響を与えると判っている危険なものをどうして使わなければならないのだろう。アメリカも同じ頃回りの反対を無視して臨界実験も繰り広げている。放射能の汚染は自分が死んでも、まだまだ危険を子孫に与え続ける自国だけの問題ではない。世界中に気流に乗ってその汚染を広げる。事故の修復は安全と叫んできた、本人達でなく、被曝を覚悟の職員、消防署員等がする。結局、人の命を土台にして安全と言っているこのいい加減さ。安全神話は完全に崩れ、日本のズサンな作業体制の恥を世界にさらけ出す事になった。今後はどうなって行くのか、原発反対運動が盛り上がればと思うが、また何時の間にか忘れ去られるのか。今までも事故の解明、反省はハッキリ示されず、今回も政府の納得できる説明もない。

  丁度、「チェルノブイリ」(フレデリック・ポール作、講談社文庫、ISBN4-06−184545−4 CO197) の本を読み終わった。是非、より多くの人にも読んで欲しい。元々頭が悪く、知識もないので難しい所は理解出来ないし、読んだつもりでも直ぐ忘れてしまう。今だに数限りない人がその後遺症と戦いながら、またこれからの発病を恐れて暮しているのだと思う。 チェルノブイリの原発事故の時、避難住民は周辺の都市、村が受け入れられたらしい。政府が民家に割り当てて生活させたのだ。

  日本はそんな時はどうするのか、誘致した地区住民の責任もあるのだからでは済まされない。電気の恩恵に預かっている全国民の責任も有る。無造作に再現なく無尽蔵に湧き出て来る訳ではない。このうえない危険な工程の賜物だと言う事を考えて貰いたい。この際、強制的に夜間のテレビの放映時間の短縮、夏のクーラーの自粛などを実施しただけで、相当の節約になる筈だ。我が家は去年から、クーラー無しの生活をしている。今年は熱波で40度ぐらいまで上がったがそれでも何とか過ごす事が出来た。放射能の怖さから比べたら、これくらいの我慢は贅沢さえ感じる。そして、1日も早い代替えエネルギーの研究が必要だと思う。単なる火事なら、水をかけて消せばそれで終わり。しかし、原発の事故は消防隊員、原発の職員は一様に被曝覚悟で現場で働かなければならない事を考えるだけでいかに恐ろしいか。絶対と言う脆い言葉をもう一度噛み締めて貰いたい。完璧な人間なんてこの世には存在しない。そんな人間が手を下さなければ成り立たないような仕事に絶対安全なんて、有り得ないと言う事だ。と、言う事は又さらに大きな恐ろしい事故だって起きる可能性も有るかもしれない。この地球は我々だけのものでは無い。みんなが、個々の問題として受け止め次世代への子供達、子孫が生きるこのかけがえのない地球をこれ以上汚さないように心がける事がこれから益々必要な気がする。世界中の原発を1日も早く廃絶の方向に導くように、そして早く代替えエネルギーの研究を期待したいものだ。今回、終息に向かっているとして、小渕首相がクリントン大統領の申し出を拒否していたが、キチンとした説明がない以上、人の想像力は悪い方に思いを巡らしてしまう。マダマダ、これからも波紋は広がるに違いない。
 

<環境・いのち・教育>中山 正毅さん
10/4/1999
  恐れていたことが、起きてしまいました。それも臨界事故という最悪の事故が。ご承知のように、日本の原発は国策です。ですから政府と電力会社は一体となって、外部の意見や忠告には耳をかさず、ひたすら原発推進街道を突っ走ってきました。国民に対しては、日本の原発は世界一安全だという宣伝を繰り返し繰り返し流して洗脳してきました。国民は悲しいほど従順です。厳しさがありません。ですから、政府も電力会社も何度原発事故を起こしても、徹底した事故原因の追究をしません。反省もありません。
 
  こういう体質は怖いですよ。危機管理がズサンになります。官も民もあれほど危険なウランやプルトニウムを取り扱っているのに、その危険性を甘く見ています。ですから最悪の状況を想定し、それに対応するシナリオが書けないのです。今回の事、臨界事故なんて想定していませんでした。ですから、どう対応したらよいのか分からず、ただ右往左往しているうちに時間がどんどん過ぎていきました。もっと大きな臨界事故だったら、もっと多くの住民が被曝し大惨事になっていたでしょう。

   私にとっては、今度の事故の発生は驚きというより、恐れていたことが現実のも
のになってしまったという怒りです。ご承知のように、私は脱原発運動、原発増設反対県民投票運動を進めてきました。取り返しのつかない原発事故の発生を恐れたからです。今回の事故を契機に、ますます頑張るつもりです。

10/7/1999
  日本では、臨界事故を起こした会社の強制捜査が始まりました。

  勿論、この会社は事故の責任を免れることはできません。が、本当の責任者は他
にいるのですよ。本当に裁かれるべきは、歴代の政府、原子力安全委員会(実際は原発推進委員会)、電力会社、官僚です。

  彼らは今,事故を起こした会社だけを悪者に仕立てて、国民の批判を交わし、自
分は免罪されて、原発産業を死守しようと一生懸命なのです。ずるい! それを見落としてはならない、と私は思っています。


home
Wings for peace
Next