ワシントン条約って何?

ワシントン条約には付属書1、2、3とあり、それぞれ目的が異なります。

付属書1に掲載されている種の商業取引は原則として禁じられ、研究目的の輸出入のみに制限されます。

付属書2では原産国の輸出許可書が必要とされ、これがないと商取引はできません。

付属書3の種の扱いは2に準じますが、特定の国が自国の生物の商取引を管理したい場合これを用います。

  このリストのカテゴリーとIUCNの出しているレッドデータブックは必ずしもリンクしていません。つまり、これも商取引の規制を目的としているからで、必ずしも絶滅の恐れがあることと関係はしていないのです。言いかえると、たとえば、パンダは付属書1に入っています。それは、個体数の激減、環境の破壊という理由もありますが、商業的価値があって取引の対象となっていたからです。ゾウ、サイ、トラ、クマなども同様の理由によります。じゃぁ、たとえば、絶滅の恐れがあるからといって、南米のジャングルに住む無名の鳥をリストに入れるのはどうでしょうか。これが商業的価値のないものなら、ワシントン条約対象種に該当しないというのが一般的な考え方です。例として、オーストラリアはBlack-breasted Button-quailというミフウズラの仲間を付属書2から削除しました。これは商業取引が行われていないからで、同種が絶滅から免れたという理由ではありませんでした。
  ただ、欧米(特にアメリカ!)にはここの考え方が違う人々がいて、わけのわからない貝や無脊椎動物を締約国会議であげてきたりします。もっと勘違いもはなはだしいのは、ヨーロッパには他国の野生生物を挙げてくる団体があることです。
  日本政府の同条約に対する見解はきわめて明快で、付属書1には極力入れない(後で理由を説明します)、商取引の実例のないものは付属書に入れるべきではない、原産国の意向を尊重するということです。

  さて、なぜ付属書1に入れることが良くないのか。商業取引が全面禁止されるということは、チェック機能もなくしてしまうということです。つまり、どの国からどれだけその動物が海外に出たのか把握できなくなるのです。付属書2では証明書が着いて回りますから、数字の把握が可能なわけです。
  次に、密輸,密猟業者をあおる結果になるということです。ニーズがなくならない限り、捕獲がなくなるわけじゃありません。いたちごっこで結局密猟業者の方が勝っています。付属書1に入れることは密猟業者の収入を増やすことにしかなりません。
  さらに、ゾウなどの人間の生活と近いところにいる生き物の場合、商業的価値を与えることで逆に保護という結果を生み出すこともできるのです。象牙やゾウの肉が売れなければ、ただの害獣なんです。政府がいかに保護しようとしても、地元の人たちは死活問題ですから、勝手に殺してしまいます。
  
  全て自然にしておくことというPreservationの考え方が間違いとは言いませんが、人が生活している限りできる話じゃありません。アメリカの歴史を考えてください。保護区はインディアンや他の少数民族を追い出した結果じゃありませんか。

  すいません、少し要点がそれました。つまり取引に関する条約であって、一般的には捕獲をコントロールするものでありません。捕獲というのはもっと国内的なことですから、アメリカだったらEndangered Species Actとかが関わるわけです。

  なお、もっと詳しくお知りになりたければ、CITESのホームページを開けてみてください。UNEPの中にあるはずです。



 
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