Inflight Safety - はじめに

  旅慣れている人には飛行機に乗った瞬間から自分で自分の安全を守ろうという心構えがあります。まず何をおいても最初にする事は座席の前のポケットに必ずある「安全ための説明書」に必ず目を通し、前方の画面で必ず放映されている「安全のためのビデオ」を見る事です。
 「良くこの便に乗るから知っているよ...」とか、「この飛行機ジャンボでしょ、知っているよ...」というのは大きな間違いです。同じ便でもその日によって機材が変わっている事もあるし、その日はたまたま時刻表と違う機材を使っている事もあります。
 ましてや、一言でジャンボと言っても、さて世界中に緊急脱出のプロシージャーの違うジャンボは果たしていくつあるでしょうか?
どうしてこれらの事が、そんなに大切なのでしょうか?
 突然エマジェンシーに遭遇した時、数秒を争う時、それからキャビンアテンダント(客室乗務員)にどうするか聞いても、もう手後れなのです。


飛行機によりそれぞれ非常口の場所と、それをどのように操作するかは違います。
煙の立ち込める真っ暗な機内、いろいろな科学物質を含む煙に巻かれながら気が遠くなるまで数分、そんな状況で、あなたは一番近い非常口を見つける事が出来ますか?良く飛行機を利用すればするほどそんな状況に遭遇する機会は増えるのです。
運悪くそんな状況に遭遇するという事を仮定して、私が一番お勧めするのは、次の事を確認する事です。
まず自分がどこに座っているのかを確認する。(自分の席番号、そして自分の席は飛行機の進行方向のどちら側か、ちなみにキャビンアテンダントは進行方向左側をLサイド、右側をRサイドと呼んでいます)
一番近い非常口はどこか、機内煙が立ち込めて視界が無くなった時や真っ暗になり何も 見えなくなってもそこまでたどり着けるように、自分の席から非常口まで何席あるのかを確認する。
非常口はどのように操作するのかを確認するのも良い事です、必ずしもその非常口を担当しているキャビンアテンダントが無事であるとは限らないのです。
非常口の操作の仕方は座席あたりに必ずある「安全のしおり」に説明が載っています。飛行機によりドアの開き方は異なり、必ず非常ドアが外向きに開くとは限らないのを知ってますか?
押してだめなら引いてみろなんて良く言いますが、飛行機のドアも内側に開いたり、上向きに開いたり扉のように開いたりと様々なのです。
非常ランプが、何らかのショックで点灯しない時、これらの事を暗闇でしなくはならないのです。
非常口付近の座席にはいろいろな制限があります。小さな子供、赤ちゃんづれ、ハンディのある人等はこの座席には座れません。またもちろん、非常口付近に荷物があってはいけません。
その荷物が非常口のドアの開閉の妨げになる事もさることながら、荷物を持っている人は何かエマージェンシーに遭遇した時、果たして、自分の身を守るより先に自分の荷物を守るでしょうか?
良く脚で押さえているから良いと思っている人がいますが、これも危険です。飛行機は1000キロ以上のスピードで飛んでいます。40キロのスピード走行している車が事故を起こした時の事を考えて見てください。飛行機への衝撃は想像を絶する物なのです。自分の荷物が邪魔をして非常ドアが開かなく、何十人もの人が脱出できなかったり、自分の荷物が飛んでいって他の人の命を奪う事を良く考えれば、非常口に荷物を置くという事は、決して出来ない事です。
 どんなに小さな物でも上の棚に入れるようにしましょう。非常口に接していない席の場合も荷物を前の席の下にしっかり固定するか、上の棚に入れるようにしましょう。それだけで、前に座っているキャビンアテンダントは、他の人の事も気使う、旅慣れているばかりでなく頼りになる人だ、と密かに思う事でしょう。 (非常口の荷物や固定されていない荷物は、非常脱出の際「凶器」になります。出来る限り機内に荷物を持ち込まないようにしましょう。)

全員が飛行機に乗り終わったころ、アナウンスが入りキャビンアテンダントが何やらドアのあたりでゴチャゴチャやった後、反対側の非常口や、後ろの方のキャビンアテンダントと手で合図をしているのを見た事がありませんか?
 これはドアの操作の一つで、ドアを開けた時に自動的にスライドが出るように、モードを切り替えてお互い確認しているのです。飛行機がゲートに着いて乗り降りしたり、色々な物を搭載したり、掃除をしたりするためドアを開けたとたん、スライドが出てしまったら外からドアを開けた人に大変な事が起こってしまいます。もう地上でドアを開ける事が無いと判断した時は飛行時のモードに切り替えるのです。
 しかしこれは機材によって様々で(同じ機材でも違う物もあります)エマージェンシーの場合にもどの状態でドアを開けるか、開けてはいけないドアか、その時の状態で様々あります。
キャビンアテンダントはその様々の状態に適した開け方が出来るように、訓練されています。これはキャビンアテンダント本人に何かが起きない限り、キャビンアテンダントに任せておきましょう。

スライドがちゃんと作動したある例をあげましょう。
TACA737がニューオリンズに嵐の中、着陸を試みた時、機体にある二つのエンジンが突然止まってしまいました。
パイロットは飛行機をグライダーのようにそうっと大きな畑に着陸させたのです。その後、スライドを使って乗客が降機出来たのは言うまでもありません。
(画像をクリックすると、大きな画像でご覧になれます)

離陸まで

まとめ
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事故例
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